出版社内容情報
**収録作品
青銅の魔人 虎の牙 断崖 三角館の恐怖
自作解説 解題 註釈
解説 少年探偵団、待望の復活/山前 譲
私と乱歩 子供のスリルとサスペンス/宮部みゆき
この小事件を、北村薫さんが「乱歩でキャー事件」と命名してくださいました。子供心のスリルとサスペンスを大切にしておられた乱歩さんは、こちらにもニッコリとうなずいてくださるのではないでしょうか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
22
当時としては、読者への挑戦というのは珍しかったのでしょうね。予想はつくのですが、あまり難しいのでは、という感触もあったのではないかと思います。「青銅の魔人」、「虎の牙」は子供のころに読んだことがあるのをかすかに思い出しました。雑誌「少年」とラジオの「少年探偵団」は当時の子供の大きな楽しみでした。2014/07/29
道楽モン
21
昭和23〜24年の作品4篇。戦後、ようやく動き出した乱歩先生。少年物2篇は怪人二十面相が登場するが、動機が明智小五郎と少年探偵団への嫌がらせレベルで実にセコい(笑)。復活への肩慣らしとはいえ、少年向き文章技術は確実に上がっていると思います。短編『断崖』で本線に復活。翻訳物の乱歩流リライトである表題作は、かなり面白い。遺産相続に係る犯罪ながら、犯罪動機の目的は遺産そのものではないというプロットは本家譲り。読者への挑戦などのケレンたっぷりの演出は独自の物。娯楽を求める読者に対するサービスとしては満点でしょう。2023/07/25
不見木 叫
15
この辺りから徐々に少年探偵団ものの比率が増えてくる。本邦館ミステリの嚆矢「三角館の恐怖」が私的ベストです。2023/12/06
さゆき
14
「青銅の魔人」「虎の牙」は少年探偵団シリーズ。犯人当てを目的とした推理小説ではなく、トリックの奇想天外さを見せるようなものが多く、あまり楽しめず。「崖の上」は短編だが面白かった。初期乱歩のおどろおどろしい世界観が楽しめる。やっぱり乱歩はこうでないと。しかし何と言っても表題作「三角館の恐怖」が断トツ。奇妙な家族をめぐる本格的なミステリー。犯人と動機までは見当がついたものの、トリックまでは見破れなかった。2018/11/02
頭無
10
「青銅の魔人」機械仕掛けの魔人(二十面相)出現。目的は泥棒&明智一味に復讐。もちろん失敗。「虎の牙」おかしな紳士(二十面相)登場。目的は明智一味に復讐。やっぱり失敗。誰も怪我をさせないと言った直後に巨大なシャンデリアを落として複数人怪我をさせる二十面相。タイトルの意味がわからない。「断崖」口語の短編。これをきっかけに三角館の恐怖を執筆。「三角館の恐怖」乱歩版エンジェル家の殺人。普通に面白かったけど丈二の節操がなさ過ぎて芳夫が気の毒です2021/12/24