内容説明
信長の麾下として各地を転戦する常滑城主・水野監物。彼は、常滑のやきものによって得た財力を背景に、茶匠武野紹鴎や連歌師里村紹巴と懇意になった。だが突然、信長は自領瀬戸のやきものを保護するために禁窯令を発令。監物を悲劇に導く。やがて本能寺の変が起こり、天下は騒乱。監物の下す決断が…。戦国に生きた人々の様々な感情と生き方を活写。歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
1
身分にとらわれず、能力ある者をどしどし取り立てた革命児・信長。けれどやきものに関しては、出自にとらわれず素晴らしいものを愛でるわけではなかった。この時点で彼は全国を統一したわけではないのだから、やはり、いざという時に自分のために働いてくれる兵となり、戦費の支えをしてくれる地元を優遇するのは、当然の処置なのだろう。しかし、他の地域に全く生産を禁じてしまう所が、いかにも極端な性格の信長らしい。このように不当に潰されていったもう一つの文化がある事を知らずして、真の歴史は語れまい。2004/02/07
てっしー
1
今ひとつ。題名からもっと陶器そのものにスポットが当てられるのかと思ったが、その点からは期待はずれ。常滑焼の産地の一小大名・水野監物から見た、いたって普通の信長・秀吉記がメイン。時の権力に振り回された常滑焼の衰亡にイマイチ感情移入できなかったのは、完成品としてのやきものは出てきても、実際に焼く場面や陶工が全く出てこなかったからかな。土の匂いを感じなかった。ただ、大名が常滑焼の復興を賭けて、千利休等の有名人に茶会で使ってもらおうと裏で画策する場面は、現代のブログ商法にも通じていて面白いと思った。2012/10/10
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