内容説明
舞台は、健康食品・器具を通信販売する会社の事務所兼倉庫。「ら抜き言葉」を平気で使う若い社員伴篤男と、「ら抜き言葉」が我慢ならない中年のアルバイトの海老名俊彦は、互いの弱みを握って激しく対立しあう。二人の男をコミカルに活写しつつ、作者の時代の変化への洞察、女性の視点が冴える。舞台の躍動感そのままに待望の文庫化。鶴屋南北戯曲賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
31
☆☆☆☆ 井上ひさしを彷彿とさせる言葉を題材にした戯曲。ら抜き言葉を治そうとして混乱するあたりが面白い。これはやはり芝居で観たほうが圧倒的に面白そう。2022/09/08
coco夏ko10角
21
内容興味持って図書館で借りて開いて初めて戯曲形式だと知ったけど、読んでみたら面白かった。おかしな日本語にイラ…となるの分かるけど、じゃあ自分が正しい日本語使えてるかというと(汗 女言葉に関するくだりとか舞台で観たら楽しそう。2018/03/18
TSUBASA
18
「ら抜き」はもちろん「ら抜き言葉」。ちょっと怪しい通販会社の電話番アルバイトに入った海老名は言葉遣いに厳格。しかし会社の人間は「ら抜き」や多重敬語、若者言葉を乱発する。日本語の難しさと面白さをうまく織り込んだ戯曲。言葉ってのは厄介な代物で、自分でも完璧に使いこなせているかというと疑問だが、他人が正しい言葉遣いが出来ていないと実に苛立つものだ。本作でもこれ見よがしに誤用表現が出て来ると頭痛がして来る。しかも段々正解がわからなくなってくる。殺意とは言い得て妙であった。2016/10/09
dianche
1
言葉の問題を定義した演劇のシナリオで読みやすく、スピードよく読破。特に女言葉に命令形がないという事実はなるほど感心できるものである。その他日本語の意味を改めて認識させらる本である。2014/09/26