内容説明
備中高松城が、巨大な人工湖の中に孤立していた。城を攻めあぐねた秀吉は、大堰堤を築き、奇想天外な水攻めを敢行した。城主・清水宗治は、毛利の援軍を期待して籠城する。が、毛利は動かず。やがて宗治は、自分を信じて籠城した兵や百姓を救うため、切腹を決意する(武士の宴)。大国に挾まれた小国領主の悲運。武門の意地を貫き、滅びゆく武将像を活写。傑作時代小説。
感想・レビュー
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BIN
5
秀吉に包囲戦で敗れた清水宗治、吉川経家、別所長治の短編集。織田VS毛利の天下分け目の大決戦の初戦で采配が震えると意気込む武士に対して、それを裏切るかのように戦わずに兵糧攻め。秀吉側から見れば兵を損なわない戦いで賞賛に値するも、満を持した武士たちに取っては悲惨この上ない。その上、自分はともかく配下や農民たちの飢餓に対する情との戦いがまた厳しい。包囲される側の作品は珍しいのでお勧めの一本。2016/06/17
Ryuji
3
★★★★☆清水宗治・吉川経家・別所長治の3人それぞれが主人公の短編。舞台は3人が秀吉と対峙した「高松城攻め」「鳥取城攻め」「三木城攻め」。どの戦いも本格的な戦闘にはならず、秀吉側が水攻め・兵糧攻めで相手を下したことで有名。これが秀吉の評価をある意味上げた(人を殺すことを望まない人物として)こととなっていますが、この本を読むとそんな評価は吹っ飛びます。特に「鳥取城攻め」などは凄惨を極めており、ある意味普通の合戦よりも残酷。それぞれの戦いをこれだけ詳細に書かれた本はあまり無いのでなかなか良い本を読みました。2013/08/19
タケ
1
高松城水攻め、鳥取城渇え殺し、三木城干殺しの話。どれも武士の誇りをもった城主だった。2010/10/08