内容説明
吉本紀子の義母がカバン詰めの死体となって発見された!死の直前の義母・静枝の呟き、福井県秋津村役場からの葉書、静岡県浜松市で診察を受けた眼科医院…一見無関係な義母の言動をたどるうち、紀子は過去の忌まわしい事件と、ある男性の名を探りあてる。だが、彼には鉄壁のアリバイが!鮎川哲也が「一点の手ぬきのない作品」と評した傑作推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
58
第二回鮎川哲也賞。第一回目に受賞した作品との方向性が真逆で驚きました。こちら、死ぬのは義母ただ一人。嫁が真相を解き明かそうと、各地を回り、食べまくる。解説にもありましたが、胃もたれするようなトラベルグルメミステリです。メインとなるアリバイ崩しはなかなか高レベル。それ以外は、松本清張寄りの捜査小説に近かったです。若い者が一切登場せず、全体的に落ち着いた雰囲気。派手さはないけれど、『殺人喜劇の13人』より、こちらの方が好みでした。2017/10/29
さくらんぼ(桜さんと呼んでね)
5
殺された義母の過去から殺された理由を探り出す。料理の説明がよい。グルメ小説?2003/01/01
たこやき
3
多少、古さを感じるのは20年近く前に発表された作品なので致し方なしか。義母と二人の男、小さな繋がりは見えても、それらが一致しないもどかしさ、そして、アリバイはなかなか面白い。ただ、完全に頭で考えたことがことごとく「正解」という展開はちょっとご都合主義に感じる2009/06/23
通りすがりのブッカー
2
この本が出たのが1999年、つまり今から13年前になる。やや古さを感じたのは、全体的に地味だからだろう。主人公紀子の趣味が俳句で、所々そういう俳句がさしはさまれるが、個人的にはまどろっこしいだけだった。つまり効果的ではない。それでも筆力は十分。それは食べ物の描写で力量を発揮している。何処か松本清張のような雰囲気を感じた。トリックは、長い割りには陳腐。動機はよかったが、やはり400頁も引っ張るものではない。いろいろと不満が目立つ作品だった。あと、愛知県には監察医務院はなかったはず。2012/06/02
elf51@禅-NEKOMETAL
1
第2回鮎川哲也賞らしくアリバイトリックはよくできている。前半は夫を事故で亡くし義母を殺害されたヒロインが謎を追う形で進むが,なぜ熱心に追うのかが伝わってこない。中盤手がかりを得た段階で警察の捜査となると,作者も「もう義母のことは忘れた」とヒロインの心情を書いているのである。前半の熱心さは何だったのか。本筋とは別の食い物描写が多いが,これを邪魔とするか,紀行ミステリーとして読むのか,好みは分かれる。作者の仕事先を反映して,名古屋近辺を中心にして書かれており,トヨタの車も出てくる。土地勘のある人楽しめる。 2018/01/08
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- 和書
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