光文社文庫<br> わが一高時代の犯罪―神津恭介シリーズ

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光文社文庫
わが一高時代の犯罪―神津恭介シリーズ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 299p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784334722142
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

一高の歴史の中で、これほど奇妙な人間消失事件もないだろう。ある日、本館正面の時計台の中で、一人の学生が忽然と姿を消した。事件には忌まわしい悪魔の影がつきまとっていた。一高生に扮した無気味な男の姿と、一高を憎み呪っていた女の謎。そして事件は悲劇的な結末を迎える―。本格推理の白眉である表題作のほか、その続編ともいえる「輓歌」も収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Kircheis

217
★★★☆☆ 神津恭介とワトソン役の松下研三が一高生の頃に経験した事件を題材にした中編を2編収録。 いずれも戦前のエリート学生を取り巻く退廃的な雰囲気が色濃く出ていて興味をそそる。 表題作には三谷隆正や後にA級戦犯となる橋田邦彦が本人役で登場する。 神津の真相をわざとボカすやり方に少しイライラするが、今でいう青春ミステリのように甘酸っぱいストーリーは悪くない。 ちなみに『輓歌』の方では推理マシーン神津の若き日の恋愛が描かれており、殺人事件よりそっちがメインである。2021/01/10

ntahima

16
【Kindle-216(Unlimited)】標準タイム3時間55分。処女作『刺青殺人事件』から時を遡って、ホームズ役の神津恭介とワトスン役の松下研三が旧制高校時代に遭遇した怪事件。元々回想というノスタルジックな手法で書かれた作品だが、初出から60年余を経てすっかり飴色に変色している。ジャンルとしては人間消失モノだがトリックは重要ではない。『この犯罪には、一つとして、悪意は発見されないんだ。各人、みな各々の正義と信ずる方向に行動しておりながら、ここに一つの犯罪が生まれたんだよ。』の言葉が全てを語っている。2018/01/19

kinshirinshi

9
明治半ばから昭和初期にかけての小説が好きな人にとって、旧制一高というのはなじみ深い存在だろう。マントをひるがえし、自由と友情を重んじ、遊びに出かけても常に一高生としての矜持を忘れず、「一高生たるもの、正門以外から出入りするべからず」を忠実に守って、門限後だろうが遠回りだろうが、必ず正門を通る(よじ登る)。この小説は、そんな愛すべき一高生たちが、迫りくる暗い時代に抗い、自由を守るために行ったささやかな犯罪の記録だ。若き日の神津恭介と松下研三の出会いも描かれ、ミステリというより極上の青春小説として楽しめる。2020/11/11

7
初めて高木彬光作品を読んだ。シリーズ作品の探偵役と助手の学生時代のお話。昭和初期、戦前の一高を舞台とする2編。時代だなあという感じ。戦争に向かってゆくあの時代の空気感、あの時代ならではの動機。表題作が好き。2022/05/16

keigo

7
巻末解説にもあるとおり、ミステリとしては物足りない部分も多いんだけど、一高時代の悲しい青春の風景をうつくしく切り取っているムードがとても好き。表題作の書き出しの部分が特に好きで、何度も読み返してしまう。2017/03/02

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