出版社内容情報
現在も読者に、そして後進の書き手に多大な影響を与え続ける作家・田辺聖子。彼女の少女時代は、戦争の時代だった。女学校で先輩に憧れ、物語の世界に遊び、空想を膨らませ創作する、その生活に忍び寄る戦争の影。自らの作家としての原点となる日々と反戦の思いをみずみずしく描く傑作エッセイを復刊。解説・原田ひ香。
【目次】
内容説明
昭和十六年、十三歳の筆者は軍国少女であり、文学少女であった。ずっと戦時下にあった女学校時代。美しい上級生に憧れ、中原淳一の絵を愛し、片っ端から本を読み、世界を夢想し、小説を書く毎日。やがて太平洋戦争に突入、戦局が悪化する中、その気持ちが少しずつ変化していく―。作家が瑞々しく回想する自らの創作の原点と、若い人たちに語り継ぐ「私の戦争」。
目次
欲しがりません勝つまでは(はじめての小説;活字中毒;私の主人公たち;更級少女;女学生;一斉検査;「ぜいたくは敵だ」)
『少女草』とわたし(戦争はじまる;もんぺ少女;雑誌ごっこ)
人生二十五年(ヒットラーと私;『花蘭物語』;決戦せまる;ジャガイモ少女;憂国)
トミちゃーん(「みたみわれ」の誓い;敵機空襲;焼け跡)
生けるしるしあり(校舎と兵隊;日本降伏;戦火をこえて)
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年大阪市生まれ。淀之水高等女学校を経て、樟蔭女子専門学校国文科卒業。大阪の金物問屋に勤務しながら、同人誌に原稿を送り始める。’54年、勤務先を退社後、大阪文学学校研究科に入学、’57年に卒業。’58年、最初の単行本『花狩』刊行。’64年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で第50回芥川賞を受賞。’87年『花衣ぬぐやまつわる…』で女流文学賞、’93年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、’94年菊池寛賞を受賞。’98年『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞よ読売文学賞を受賞。’95年紫綬褒章、2008年文化勲章を受章。軽快な大阪弁で恋愛、結婚などにまつわる人間心理を温かく、鋭く描く名手として多数の小説作品を執筆。エッセイも多数。日本古典文学に造詣が深く、現代語訳や解説書も多く手が仔る。’19年、逝去。その瑞々しい感性で描かれた作品群は今なお多くの支持を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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