出版社内容情報
金沢のひがし茶屋街で人気を誇った芸妓・なつ江が殺された。事件現場近くで目撃された水引細工店の女性や被害者と仲のよかった老舗料亭の料理人、贔屓にしていた和菓子店の店主、老人施設の経営者……聞き込みを続ける金沢東署の小豆沢玲子は、誰もが抱える家族や後継者の問題、悩みにも寄り添いつつ、徐々に事件の核心に近づいていく。
【目次】
内容説明
捜査は進むのに、遠回りばかりしている気がする…。事件を追う女性刑事が翻弄される、“金澤をどり”に潜む真実とは!?金沢のひがし茶屋街で人気だった芸妓・なつ江が殺された。事件現場の近くで目撃された水引細工店の女性や被害者と仲のよかった老舗料亭の料理人、ひいきにしていた和菓子店の店主、友人だった老人福祉施設の経営者…聞き込みを続ける金沢東部署の小豆沢玲子は誰もが抱えている後継者問題や家族の悩みに寄り添いつつ、徐々に事件の核心に近づいていく―。
著者等紹介
城山真一[シロヤマシンイチ]
1972年、石川県生まれ。金沢大学法学部卒業。2015年に『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』で第14回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
137
題名と装画から時代小説かと思えるが、現代が舞台の人情ミステリ。金沢の茶屋街で起きた芸妓殺害を巡り、近隣の水引細工店や老舗料亭、和菓子店に老人福祉施設などを女性刑事が聞き込みに回る中で、それぞれの抱える家族内の悩みや後継者問題が浮き彫りになるプロセスは清張風の社会派的な風情を漂わす。そうした事件とは無関係と思われた諸事情や、被害者の芸妓が祭りで披露するはずだった踊りが少しずつ有機的につながり、ラストできれいに結びつく。多少きれいすぎの感はあるが、金沢から離れられず生きる人びとの懸命さが余情ある読後感を残す。2025/08/22
ゆみねこ
67
金沢のひがし茶屋街で人気の芸妓・なつ江が殺害され、捜査にあたる刑事の小豆沢玲子。現場近くで目撃された水引細工店の女性、老舗料亭の料理人、和菓子店の店主、友人だった老人福祉施設の経営者。中々心の内を見せない人たちが小豆沢に語る事実。明らかになった殺害犯と「浅野川雨情」に秘められたこと。ミステリーと言うより人情ものかな。面白さはまずまず、ちょっと長かった…。2025/08/19
ぐうぐう
29
神は細部に宿ると言う。今作のような上質なミステリを読むと、そのことを改めて実感する。金沢を舞台にした物語は、一人の芸妓の殺人事件を軸に進んでいく。彼女が伝説の「浅野川雨情」を踊る前に殺されていたことから、女性刑事である小豆沢が関係者を丹念に訪ねていく。しかし小豆沢の存在は控えめだ。焦点は関係先の人間ドラマにあり、それが章により変わっていく連作のようなスタイルになっている。金沢の伝統や文化が背景を彩り、物語を支えていく。そこには金沢在住の城山真一の特別な想いが込められているように感じられる。(つづく)2025/09/19
fuku3
26
2025.8.30読了。人情ミステリとでも言うのか⁉︎金沢の茶屋街で人気の芸妓なつ江が殺された。東部署の刑事小豆沢玲子が丁寧に丹念に関係各位に当たり、複雑な古都の街の人間関係を紐解いて行く8篇の連作。このパターンは東野氏の"新参者"を思い出す。何と云っても小豆沢刑事のキャラが出色の出来である。口の硬い関係者にもスーと懐に入って何故か小豆沢の質問に答えてしまう。そんな刑事らしくない小豆沢の飄々とした自然体が光った。前職は新聞記者でなぜ辞めたて刑事に転職したのかは、次回作へかな⁉︎新聞社の社長の娘なのか⁉︎2025/08/30
TAKA
23
看守シリーズの城山さんの新作という事で期待が大きかったからなのか、ちょっと期待外れだった。刑事事件がメインなのか、人情物なのか主眼が定まっていない気がした。事件自体も特に意外性があるわけでもなかったし。触れたことのない金沢の雰囲気を味わえたからそれで良しとするか。2025/08/08