出版社内容情報
市立中学で英語を教える青哉は、久しぶりに小学校の同級生と集まった。武丸、凪、若葉、そして青哉の4人は、14年前の林間学校で起きた壮絶な事件を振り返る。4人と同じ班だった乃江瑠が、近所の危険人物・須藤に殺害されたあの日のことをーー
それぞれが、わだかまる思いを抱えつつ、また会うことを約束した数日後、若葉が絞殺体で発見された。過去の事件と繋がりがあるのか? 悪夢が再び動き出す!
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
208
櫛木 理宇は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、近親ペドフィリア・イヤミステリ青春譚でした。 14年ぶりに再会しただけに・・・ 急展開でした。 https://books.kobunsha.com/book/b10137308.html2025/08/22
いつでも母さん
155
櫛木理宇だから、絶対に悍ましいはず。間違いなく痛いはず。片眼と片耳を塞ぐか?心を半分閉ざすか?あら、これはぬるい櫛木理宇?(当方比)真相は悍ましく不快ではあったけれど、いつもほどじゃない(←どんだけ~)始めからの怪しい人物はきっと違うと、行間も読んだつもりがやっぱり外した(担任は論外)貴方でしたか・・もうガッカリ。こんな奴に・・怒りで、大人の醜さが溢れて申し訳ない感じになる。でもね、こんな大人ばかりじゃないからね。と言う自分の言葉が虚しい・・2025/07/24
ちょろこ
142
過去と現在、行き来しながら一気に読まされた一冊。14年前の林間学校で同級生殺害事件のトラウマを抱えた男女4人が久しぶりに顔を合わせたことから彼らの時間が動き出すストーリーは一気に子供と大人の心に引き摺り込まれるほど。彼らが抱える事情が垣間見える度に、こちらが思うよりもずっと細かく子供は大人を見ていること、立派な人格があることを改めて感じずにはいられなかった。大人が持つ権力は支配ではなく子供を守るためにあるべきものだと今作でも痛いほど噛み締める。自分にきちんと向き合い踏み出す彼らの幸せを願いたくなる読後感。2025/07/15
モルク
116
14年前の夏小学校の林間学校で起こった事件。感情的で協調性のないはみ出し者だった乃江瑠が近所に住むいわくつきの人物に殺害された事件。そしてその時同じ班だった四人が久々に再会する。あの時のことを思い出しながらそれぞれの思いを語り合うがその中の一人若菜が殺される。14年前の事件と関係あるのか。複雑な家庭環境、ヤングケアラー、外れの担任、小児に強い性的興奮を持つペドフィリアなどを絡めながら進む。どうしようもなくクズな大人たちと、しっかりした小学生たち。ミステリーとしては弱めだが武丸の時々使う新潟弁にどっきり。2025/08/30
タイ子
112
林間学校で1人の児童が殺され、犯人はその後自害。そして14年後、彼らは大人になり其々の人生を歩んでいる。物語は14年前と現在のあの時の状況、現在の情況を交互に描写していく。小学5年の子供たちに映る同級生の姿が何だか危ういのも純粋さの中に怖さも秘めているから。異分子的な存在の児童が1人いるだけで場面が変幻し嫌悪する教師が1人いるだけで場面がうすら寒くもなる。14年後に起こる同級生の死。あの時から今に至る謎で覆われた彼らの時間が解き明かされていく。大人の欲望に子供が犠牲になる悲しさ。やはり、櫛木さんは面白い!2025/07/15