出版社内容情報
南海電鉄岸和田駅で無差別殺人事件が発生。7名を殺害した笹清政市(32)は、自らを“無敵の人”と称する。数日後、大阪地検で郵送物が爆発、6名が重軽傷を負った。被疑者〈ロスト・ルサンチマン〉は笹清の釈放を求める。不破俊太郎一級検事も新たな爆破に巻き込まれ――。果たして、連続爆破事件は止められるのか? 〈ロスト・ルサンチマン〉の真の目的とは? “棄民”と“司法”の対決が始まる。人気検察ミステリー第3弾!
内容説明
南海電鉄岸和田駅で無差別殺人事件が発生。七名を殺害した笹清政市は、自らを〈無敵の人〉と称する。数日後、大阪地検で郵送物の爆発事件が発生。被疑者〈ロスト・ルサンチマン〉は笹清の釈放を求める。不破俊太郎一級検事も新たな爆破に巻き込まれ―連続爆破事件は止められるか?〈ロスト・ルサンチマン〉の真の目的は?大人気検察官シリーズ第三弾!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
59
シリーズ第三巻。岸和田駅前で通り魔が発生。犯人はすぐに逮捕されたものの数日後大阪地検が爆破される。実行犯は「ロスト・ルサンチマン」と名乗り通り魔の釈放を要求するのだが…。と今回もリーダビリティに満ち満ちたストーリーで一気に読まされる。今回も独特の美学を持つ主人公が魅力的なのは言うまでもないが、一際目を引くのはワトソン役の成長ぶり。ある理由で検事が一時離脱しての孤軍奮闘ぶりはシリーズファンとして感動ものでした。犯人こそ目星付かなかったものの、動機などは著者の別作品と共通していたのでそこは読み切れて満足かな。2025/08/06
ワレモコウ
52
能面検事3作目。通勤通学でこみあう岸和田駅前で、無差別殺人が起き7人が惨殺される。逮捕された笹清は、就職氷河期で人生を狂わされたと、世を逆恨みしての犯行だった。ネットでは笹清擁護の声も大きくなり、彼の釈放を求める「ロスト・ルサンチマン」と名乗るものから大阪地検へ爆発物が送られ、職員が重傷を負う事件に。この連続事件の捜査にあたった不破検事も、相次ぐ爆発物事件の被害者になる。ここに来て、なんだか似たような展開だなと思うし、「ロスト・ルサンチマン」の正体も、なんとなくわかってしまった。読みやすかったけど。2025/07/30
ナオフミ
38
人は誰しもプライドがあり、それは一個人の価値観では到底測れないものだ。今回の作品には様々なプライドが衝突しあい、悲惨な結果へと繋がってしまった。殺人犯人に情けは無用だが、その背景や成り行きも同じ殺人犯であり、そういったことで情をかけてはいられない。自分の仕事に真っ直ぐで自分の信念を貫くのは簡単だが、周りからの期待や、想像を超えた背景に心が揺らぎついつい曲げたくなってしまうもの。それを顔に出さず、声に出さず、心の深く深くに閉じ込めて結果を出す。ロボットではなく人間がそんなことをすればいつか壊れてしまいます。2025/08/28
鐵太郎
26
今回は不破検事と惣領美晴検察事務官のやり取りではなく、拗ねたニートによる無差別殺人の修羅場から始まります。駅前にレンタカーで突っ込んで2人をはねて殺し、それから5人の老人子供をナイフで次々殺戮。こんな残酷な場面の展開でひと息つくと思ったら、この犯人の逮捕のあと彼を英雄に仕立てる組織が現れ、検察庁で爆発事件までおきます。さらに次から次へ凄惨な事件が続き、なんと不破検事までも爆発に巻き込まれて重傷。さあどうなる、というトンデモ展開の末、事件も二転三転、そして四転。まさに「どんでん返しの帝王」面目躍如ですなぁ。2025/07/08
NAOAMI
15
婿の人びと7人を殺した無差別殺人、犯人は即逮捕も、大阪地検で爆弾テロ。犯行声明がロスジェネ世代の代弁者たる犯人を釈放せよと。就職氷河期世代が理不尽に損をしている社会、放置している行政も悪いとSNS共感も交え社会派の様相。無差別殺人に憤る警察、爆弾被害に遭った検察内でも、口には出さないが、私刑を誰もが考えてしまう気運。事務方美晴もご多分に漏れず感情に流されるが能面検事は健在。真っ当なる司法の姿勢を貫く孤高が格好いい。被害者家族がらみで唯一名の知れぬ人物が気を引き驚きは無かったが終盤のたたみ込みはやはり見事。2025/07/12