出版社内容情報
落馬事故以来荒んだ日々を送る元花形騎手の円谷翔吾は、ある日、娘の願いを聞く。「ルプスデイに勝って」。比類なき強さで障害競馬界の絶対王者の座に君臨するサラブレッド、ルプスデイ。円谷はセンスを見出した馬、キアーロディルーナと困難な戦いに挑む。一方、ルプスデイの主戦騎手の森山翔吾は、再起をかける男の姿を静観する。だが、王者には老いの影が迫っていた。二頭の競走馬とふたりの翔吾。譲れない勝負の行方は!?
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
501
立て続けに馳競馬小説。今回もまた少しだけ趣向を変えて、障害競馬で二頭の馬と二人の騎手が競い合う、わかりやすい対決構図。これがまた、のめり込みやすい物語で、なおかつ先の二作のように、現実をトレースした馬なのかが、知識不足でよくわからないまま読んだので、勝敗が予測できなかったのも良い。これまで以上に騎手にクローズアップしており、それでいて馬の存在感もまったく薄れておらず、ステイゴールド縛りで書いているにしては、作風にちゃんと幅を出せていてすごい。作家としてはずいぶん丸くなったとは思うけど。2025/06/14
starbro
155
馳 星周は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者のサラブレッドシリーズ、今回は障害競馬の感動作でした。 娘 沙織の言葉に泣かされます🏇🏇🏇 https://books.kobunsha.com/book/b10136206.html2025/06/12
パトラッシュ
140
五輪の馬術障害競技は見たことがあるが、競馬にも障害レースがあるとは知らなかった。それほどマイナーな存在であっても障害競走と障害馬を愛してやまない男たちの熱い思いが伝わってくる。一度人生を投げた酔いどれ騎手が絶対王者と称される強い馬に再起を賭けて挑むドラマを核に、家族や調教師も巻き込んで最高の戦いへと突き進んでいく姿は迫力に満ちている。特異な分野故のユニークさを巧みに描いており、これまで競馬小説の基準にしてきた宮本輝『優駿』とは違った面白さで読ませてしまうのだ。唯一、登場人物が善人ばかりなのは物足りないが。2025/07/08
いつでも母さん
133
久しぶりの馳さん。障害競馬に携わる彼らと馬たちに胸が熱く、感情の昂ぶりで程よい疲労と達成感を伝えたい。息遣いや汗、筋肉の鼓動、美しい毛並み・・「人馬一体」の言葉と映像が浮かび上がる。二人の翔吾と卓越した二頭の絶対王者にただただ拍手だった。2025/06/19
のぶ
71
馳さんの競馬の小説を読むのは3冊目だけれど、本作も競馬への愛が溢れていて良かった。今回は障害競走をめぐる物語。競馬の事は詳しくないけれど、競馬の中で地味な世界だと思う。障害競馬で絶対王者のサラブレッドと、何とか連勝を阻もうとする馬との戦いにそれに乗る騎手が絡む。レースの描写はスリルに溢れていたし、周辺で支える調教師他いろんな人たちが上手く描かれていて、面白くて爽快な話だった。2025/06/16
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