出版社内容情報
盛田照美、50歳。夫と娘がいる。ひとりになる必要のない人生を送ってきた。はじめての「ひとり旅」で温泉地へ。人生の折り返し地点をすぎて、自分の半生に想いを馳せる。わたしがここまでに成し遂げたもの、何かあったかしら……。思い惑い人生の苦みを抱えながら彼らは温泉地へと向かう。「温泉ソムリエマスター」でもある作者が描く、温泉愛に満ち満ちた、六つの極楽小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
66
温泉がテーマの短編が六編。表紙めちゃくちゃ気持ちよさそうなんだけど、温泉より旅に出て自分を見つめなおすという内容だったかも。日帰りバスツアーは便利なんだけど、ひとり参加だと人間関係が面倒そう。断食やってみたいけど、でもやっぱり美味しいごはんが食べたいかな。おじいちゃんと孫のしりとりはいい感じ。島の海辺の絶景吹きさらし温泉に行ってみたい。2025/06/03
シャコタンブルー
59
作者は温泉ソムリエマスターの資格を持っているが、それを日常生活にどう生かしているのだろう気になる(笑) 6話の短編集だがどの話ものぼせることなくサッとカラスの行水のように上がった感じだが、それぞれの温泉が独特の成分や特徴もあり存分に楽しめた。印象に残ったのは「女友達の作り方」初めてひとり旅バスツアーに参加した女性の複雑な心境の変化と温泉やサウナで整い、身も心も清々しくなっていく様相が何とも気分が良い。温泉に入りたくなること間違いなしの話だった。2025/06/04
sayuri
40
「女友達の作り方」「また会う日まで」「おやつはいつだって」「わたくしたちの境目は」「五十年と一日」「島と奇跡」温泉に纏わる6話収録の短編集。タイトルと装幀から、まったりホンワリした物語を想像すると良い意味で裏切られる。朝比奈あすかさんのヒリつくような描写は健在。随所に棘もあれば毒もある。だがそれが物語のいいスパイスとなって、その後の解放感が半端ない。人生に惑い苦味を抱えていた人達が温泉旅で身体と共に心までほぐれていく様子に心癒される。どの短編も秀逸だが、最終話「島と奇跡」はタイトル通りその奇跡に感動した。2025/05/24
信兵衛
24
最近の温泉人気に伴っての“温泉”小説とは、さもありなん、と思ったのですが、各篇で必ず温泉は登場するものの、内容としてはむしろ“一人旅”にこそ意味があるのでは、と感じた次第。 お仲間がいない一人旅の場合、感受性が全方向になりますから、それだけ感じるものが大きい筈。 それぞれの主人公にとって、変わる転機になる、そこに面白味あり、と言えます。2025/05/23
kanki
22
友達を作る努力。丁寧に、繊細に、対等に。年をとってからでも、なおさら。新しいことをやってみるのもいいかも。1人旅、1人サウナ。自分を見つめて、新しい意欲が出るかも2025/06/15