出版社内容情報
ここは、世田谷線上町駅近くにあるみどり助産院。母親たちを出迎えるのは「おっぱい先生」こと律子だ。授乳に悩みを抱える母親たちに、全力で向き合い続ける毎日。母親たちは律子と出会い、子を守り、生きる力を取り戻していく。知られざる「母乳外来」専門の助産院を舞台にした、育児の孤独を打ち破る希望に満ちた物語。シリーズ2か月連続刊行第1弾。(『おっぱい先生』改題)
内容説明
緑の庭に、今日も赤ちゃんの泣き声が響く。ここは、出産補助を行わない母乳外来専門の助産院。授乳に関して母と子をサポートする現場だ。院長の律子は、母親たちの身体をほぐし、心に触れ、その痛みを癒していく―。子育ては、だれだって思い通りにはいかない。子を産み育てる人に、孤独を抱える人に、そしてそれを支えるすべての人々に贈る、心澄み渡る感動作。
著者等紹介
泉ゆたか[イズミユタカ]
1982年神奈川県逗子市生まれ。早稲田大学卒業、同大学院修士課程修了。2016年に『お師匠さま、整いました!』で第11回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。’19年に『髪結百花』が第8回日本歴史時代作家協会賞新人賞、第2回細谷正充賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
38
母乳外来という存在を初めて知りました。 自信を無くしかけた新米お母さんたちを優しく診察する温かい物語でした。2025/03/26
ゆのん
37
【シリーズ1作目】2020年5月刊行『おっぱい先生』を文庫化に伴い改題した作品。赤い屋根、白い外壁に蔦が這い古びた鉄門の一軒家が『みどり助産院』だ。母乳の悩みや育児の悩みを抱えたママ達の駆け込み寺的存在。美人でスタイル抜群の看護師・さおりと白髪短髪の一見厳しそうな『おっぱい先生』こと律子先生が出迎えてくれる。昔々に私も通った『おっぱいの病院』を思い出して懐かしさと、当時の大変さ、頑張ったなぁという気持ちなどに包まれての読書。心の中でエールを送ったり、共感し涙したりととても素敵な物語だった。2025/01/25
Karl Heintz Schneider
34
「退院してからおっぱい先生に通い詰めて修行したんです。」生後5日の息子が母乳を飲んでくれないと悩む和美は同じ病室だった女性の言葉を頼りにみどり助産院の門を叩く。ここはお産を扱わない母乳外来専門の助産院。授乳中の母親ならいつでも行くことができる。迎えてくれたのは白髪の助産師『おっぱい先生』こと寄本律子。「ここは病院ではなく助産院です。治療、すなわち医療行為はなにもできません。私は母乳外来の助産師として保健指導をするだけです。」それでも温かい声掛けと優しい手の温もりにより母親たちの心と体は次第に癒されてゆく。2025/05/22
りょう
9
電話帳にも載ってない、HPもない母乳アドバイス専門の「おっぱい先生」の助産院。でも母乳が一番!!って押しつけない。お母さんと赤ちゃんが幸せなことを一番に考えてくれる、そんな理想的な助産院の物語。続編もあるみたいだから、読みたい。2025/06/21
パタポン
8
ものすごく感動しました。4つの短編から構成されていますが、先のお話の主人公が次のお話の主人公にみどり助産院を紹介する形ですすんでいきます。昔から母乳神話というものがあり、自分もかつて悩んだりしたことを思い出しました。特に第3話は今の時代の女性にはそこだけ読んでも共感を持つだろうと感じました。娘にも紹介したいほどです。私も母乳に悩んだあの頃律子先生のような方がいたらなぁ〜と思えました。続編もあるので楽しみです☺️2025/06/03