出版社内容情報
〈音〉や〈音楽〉をモチーフに異形な物語を集めた15篇を収録。読者の皆様を《世にも異形》でメロディアスな世界にご招待! 全篇書下ろしシリーズ、58作目。 〈収録作家〉
阿泉来堂 井上雅彦 空木春宵 坂崎かおる 澤村伊智 篠たまき 斜線堂有紀 田中啓文 梨 西崎憲 久永実木彦 平山夢明 宮澤伊織 木犀あこ 芦花公園
内容説明
耳を澄ましてください。すべての妖しい音たちに。今回のテーマは“音楽”や“音”。言葉で綴られた名曲たち、心をときめかせるサウンド、そしてなによりも妖しく美しく奏でられる戦慄豊かな―いえ、旋律豊かな物語、妖しく美しく響き渡る怪奇、幻想、恐怖、驚異―そんな世にも異形な短篇小説ばかりを集めてみたというわけです。ホラーな「音」たちを集めていく愉しみ。満を持してお届けする至極のメロディ、甘美なる悲鳴のご準備を。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
84
このシリーズも58冊目ということで、最近の作品は若い人向きになっているのでもうやめようかと思うのですが手に取ってしまいます。このアンソロジーも15人の作家さんが「メロディアス」というお題に力を入れて向かい合っています。私が比較的好みの澤村伊智さんの作品は今回は少し、という感じでした。ただ宮沢伊織さんの「悪いお経はご遠慮ください」と篠環さんの「軸月夜」は印象に残りました。2024/12/19
sin
60
今回は興味深い作品多し…梨−讃美歌、祝詞に「倍音」カルト教団の召喚呪法に至る。坂崎−浅はかな同情は同化と変じ人生は閉じる。宮澤−秀逸な着想=悪いお経。篠−紛い仏の狂宴。阿泉−凄惨を讃美に変換す。井上−ハリウッド紛い。木犀−こじつけの童謡ネタ。斜線堂−達成感は使命感に勝る。平山−腐った父親とサイコパスな知人。空木−人は自分の理解できる範疇しか理解しようとしない。芦花−ただ六十人の有象無象が贄に饗される。澤村−怪談の輪唱。久永−人類を滅ぼすと云う厨二病。西崎−背景を置き去りに…。田中−クトゥルフの音楽的顕現。2025/01/23
Shun
29
異形コレクション復活後の10冊目。<音>をテーマにした異形の物語を作家たちがどのように仕上げてくるか注目です。”音”はホラー作品にとっても非常に重要なファクターであり、旋律一つとっても人間が本能的に警戒する和音の存在があったりとネタは多いであろう。そして本シリーズに参加する作家であれば読者の想像を超える何かを期待せずにはいられない。さらに近年ホラー界で流行りのモキュメンタリーの手法を使った作品もまた愉しいものとなっている。中でもラブクラフトから連想するクトゥルーの世界のあの戦慄の声が甦る場面は怖気が走る。2025/01/12
らすかる
24
錚々たるメンバーによるアンソロジー。音、音楽がテーマの恐怖譚。たしかに音って怖さを増長させるかも!また作家さんそれぞれ多彩な音の恐怖を演出していて面白い。特に芦花公園さんの作品は大好きなキャラの名前が出てくるのでお得な気分が味わえました🎶楽しかった‼️2025/02/21
佐倉
17
今回は音…特に音楽に纏わる怪がテーマ。トップバッターの梨はまさかのゆっくり解説。周波数や音程などいかにもありそうな音楽理論の解説動画…と思いきやカルト教団が残した楽譜の登場で雲行きが一気に変わってくる。『エリーゼの君に』坂崎かおるは固定電話がテーマ。突然にやってくる着信、保留音の焦れったさ、連絡網…と郷愁に誘われた先に迷宮に取り残されることになる。『悪いお経はご遠慮ください』宮澤伊織は百合カップルによる怪異攻略シリーズ。ありがたいお経がどうして不吉なものと扱われるのか…という点から攻略していくのが楽しい。2024/12/14