出版社内容情報
コーヒーは苦くて甘い。人生も苦くて甘い。悩みにとらわれた人々の転機にコーヒーが立ち会う。それぞれが選択した未来は――。ある日、ルームメイトの実果が出ていった。入れ違いに現れた彼女の婚約者と、なぜか同居することになり――(「コーヒーの囚人」)。真面目が取り柄の地味な会社員が、上司との不倫におぼれた先で出した答えとは――(「隣のシーツは白い」)ほか、日常の先に潜む、どこか不思議な5つの物語
内容説明
ある日、ルームメイトの実果が出ていった。入れ違いに現れた彼女の婚約者と、なぜか同居することになり―「コーヒーの囚人」。真面目が取り柄の地味な会社員が、上司との不倫におぼれた先で出した答えとは―「隣のシーツは白い」。新たな住まいに引っ越した家族の元を訪れる、前住人の老婦人。初めは彼女の訪問を疎ましく思っていたが、待っていたのは意外な結末で―「招かれざる貴婦人」。気鋭の作家が切り取った、コーヒーが寄り添う人生のドラマたち。
著者等紹介
砂村かいり[スナムラカイリ]
2020年に第5回カクヨムWeb小説コンテスト恋愛部門で『炭酸水と犬』『アパートたまゆら』で特別賞を二作同時受賞し、翌年デビュー。軽やかな筆致と丁寧な人物造形の描写が魅力の注目の新鋭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
144
コーヒーと読書は相性が良い。本作、書名の通り、不思議なほどに…合う。作品では脇にあるも、立派なモチーフであるコーヒーの象徴性と存在感の強さ。苦み、酸味、コク、甘み、香り―、5編それぞれのブレンドは明らかに異なる。キレの良さはあるのに、どれもが舌に絡むビターな味わいと薫りを心に残し、それが自身の記憶のどこか?から醸されているような気にもさせる。軽やかな筆致で紡ぐ際々の人間関係、エッジの効いた人物造形と心象描写は、悩みに囚われた人々の葛藤をより鮮明に浮き彫りにし、その転機を鮮やかに描く。是非、コーヒー片手に。2025/06/11
おしゃべりメガネ
119
タイトルにあるようにコーヒーをネタにした5つの話からなる短編集です。砂村さん作品らしく、ちょっとベタアマっぽいのから、意外とシリアスな作風のものまで多彩な一冊となっています。どの作品もコーヒーの使われ方がなかなか印象的で、読んでる最中はもちろん、読後もやっぱりコーヒーを飲みたくなってしまいますね。それぞれの話は雰囲気も異なり、みんながみんな読後感がいいワケではありませんでしたが、読み終えて結局は砂村さんの作風に惹き付けられていたことを再認識します。個人的には'喫煙所'での出会いの話が印象的で好きですね。2025/04/09
美紀ちゃん
76
「アパートたまゆら」も「炭酸水と犬」も好きなので、読んでみた。 あ!あの実果だ!と、5作品目で繋がる。 まーちゃんにお土産買ったのかな? 仲直りできそうで、良かったと思った。 シーツの話と喫煙所の話は、全く共感できないが面白かった。 貴婦人の話は、ちょっと怖かった。 5作品とも濃いコーヒーみたいな、大人のストーリーだった。2025/03/12
花ママ
66
最近好みの作家さんに加わった砂村さんの最新作。コーヒーが主人公に寄り添い、不思議な雰囲気を醸し出している5編の短編集。いずれの主人公も、普通とはいえない状況にある人たちで、ややこしさも感じましたが、この雰囲気嫌いじゃなかったです。2025/02/05
えんちゃん
63
きましたねー。こういう砂村かいり作品が読みたかった。出ていった同居人の彼氏と同居しちゃうとか、念願のマイホームに元住人おばあさんが来ちゃうとか、トンデモシチュエーションのお話5つ。どれもまあまあなキテレツ展開なんだけど、多様性とか常識に縛られることなく、何とも自由に軽やかに描いちゃう。やっぱり砂村さん好きだなあ。特に表題作が一番好み。え?一緒に暮らすの?、からのそういうことね、からの最後話の伏線回収。お幸せに。2025/03/14
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