出版社内容情報
刑事なのに。正しいことをしたいのに。
どうしてこんなことをしているのだろう。
追いつめられた女性刑事が重ねる、嘘と罪。
残された道は、この事件を解決することだけ。
白と黒の間でもがく、緊迫のサスペンスミステリ!
内容説明
群馬県警本部捜査一課の刑事、白澤蕗の前に、数年ぶりに現れた兄・然。小狡くて卑しい然とは縁を切っていたが、200万円を用立ててくれと泣きつかれる。然にとある負い目がある蕗は、追い詰められて署の証拠品保管庫から現金を盗み出す。数日後、元検事の小曾根に金を借り保管庫に戻すが、今度は小曾根から強請られる。借用書を取り返そうと小曾根宅へ侵入した蕗だったが、そこには目を疑う光景があった―元白バイ隊員の著者が挑む、警察小説の新機軸!
著者等紹介
松嶋智左[マツシマチサ]
元警察官、日本初の女性白バイ隊員。退職後、小説を書きはじめ、2005年に北日本文学賞、2006年に織田作之助賞を受賞。2017年、『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』(応募時タイトル「魔手」)で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ma-bo
100
正しい事をしたいから刑事になったはずなのに...捜査一課の刑事、白澤蕗はとある事情から署の証拠品保管庫から現金を盗み出す。それは縁を切ったものの過去のある出来事で負い目のある兄、然から泣きつかれたからだ。数日後、元検事の小曽根に金を借り保管庫に戻すが、小曽根は何者かに殺害される。ちょっと現実感のない状況😅。蕗の葛藤と仲間にバレる恐怖の中での捜査。兄だけでなく家族との過去の因縁が鍵になっていた。警察の清濁併せ呑む捜査で解決そして裏の内部事情。元警察官の作者だけに裏事情は近い事知ってたり経験したりあるのかな2025/04/02
タイ子
85
松嶋さんの警察小説の中でも少し毛色の違う作品かも。正義に燃える群馬県警本部捜査一課に属する白澤蕗刑事。彼女はいつも思う、正しくあれ。だが、この誓いが実弟のせいで破られる時が来る。この辺りからモヤモヤ感が止まらない。蕗は弟の要求で証拠品管理のお金に手を付ける。えっ、やるんだ!?そのお金を返却するため貸金業者から借金し元に戻す。が、貸金の男が殺された事から事態は大きく動き出す。犯人逮捕とともに証拠の手帳をいち早く奪う事。切れない血の繋がり、ウザいけどほおっておけない。清濁併せ呑む警察の内部。いやぁ、面白い。2025/02/20
きりん★
41
過去の出来事から、正しく生きたいと警官になった主人公。しかし運命のイタズラか生き別れたどうしようもない兄が現れ、お金が必要になる。こんな冒頭で始まりがどんよりだったのに、あれよあれよと進んでいき、あっという間に読んでしまうサスペンスミステリー😆いつもの松嶋さんの警察ミステリーにはないドキドキ感があって面白楽しめた😆!2025/04/09
fuku3
36
2024.11.25読了。むぅ〜。松島さんの新作は 中々面白かったです。だが主人公の女刑事は最後迄好きになれず。群馬県警捜査一課、白澤蕗はやむに止まれず、悪事に手染める。それを隠蔽しようとして最悪の結果に。殺人現場に遭遇、蕗はこの事件の犯人を見つけ蕗が関わった証拠を早く処分しないと、警察官としての人生は終わってしまう…。と云う展開は幾つか読んだが大抵の場合は、主人公の破滅に終わるパターンが多い。今作は如何に⁉︎それにしても蕗の実の兄がどうしようも無い悪悪悪人!こんなひどい奴見た事無い!人間以下の外道だ!2024/11/25
rosetta
31
★★★✮☆さすが元警官、相変わらず如何にもありそうなリアリティ。嫉妬深い母に言われ父の愛人を階段から突き落とした過去がある白澤蕗。それを塗り替えるため正義の人となるべく警官の道へ進み、2年前から群馬県警本部の刑事になっている。屑の兄の窮地を救うため証拠品の現金に手をつけ、それを補填するために元検事の個人的な金貸しに借りる…気持ちでは正義を為したいのにホンの一歩を踏み外したばかりにドンドン更なる犯罪行為に堕ちて行く。ちょっといい感じになった男とか、兎に角キモヲタの兄がとことん下劣。いっそ死んでてくれたら2024/12/31