出版社内容情報
有栖川有栖、平山夢明、澤村伊智、上田早夕里、斜線堂有紀、芦花公園ら、稀代の短篇巧者16名が書下ろし競演! いまホラー界とSF界でもっとも注目されるテーマ・アンソロジー最新刊! 鉄道から人力車、潜水艇まで、さまざまな乗物をめぐる怖ろしくも妖しい16編を収録!
内容説明
自動車。鉄道。船舶。飛行機…物語とともに、魅惑の旅へ―。今回は、素敵な乗り心地の一冊です。頁をめくるのは深まる秋のような涼風。身体を駆け抜けるのは心地よい振動。彩りあふれる景観の中、徐々にスピードは加速して、勢いよく目の前を流れていくのは、めくるめくようなイメージの奔流。今宵も、ぎっしりと詰まった物語のオムニバス。それでは、短篇小説への魅惑の旅へ。宵闇色の気流に乗って参りましょう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
16人の作家による乗物関連のホラーあるいはミステリー作品集です。最近の作家さんが多く私にはなじみのない方が多いのですが、この編纂者の井上さんや推理作家の有栖川さん、ホラー作家の澤村さんはいつも読んでいます。最近の状況に絡む話などが多いのですが、明治時代の人力車関連の話もあったりします。また、スティーヴン・キングの「クリスティーン」を思い出させる作品もあり楽しめました。2023/12/06
H!deking
73
今回も夢さん目当てで買いましたがどれもこれも面白かったです。夢さんのスイゼンジと一緒はそうそうこれこれ、っていう作品でストライクど真ん中で二回読みました。ラストがなんとも良い。あと一作目に収録されていた久永実木彦さん?何者??めちゃくちゃ好みど真ん中で震えました。この作家さんは追いかけたいと思います。という訳で今回も外れ無しのアンソロジーでした。2023/12/08
sin
59
久永−彼女はきっと自分しか愛せない。坂崎−兄弟感情に違和感。大島−げに恐ろし怨讐の念。芦花−カリスマは神のギフトか人の業。澤村−神戸では“コトリ”が来る。宮澤−お先に…はダメ?篠−被害者とは…。柴田−場面も真相も他者との関係性が絶妙な…。上田−落ちの引っ越し先に違和感。斜線堂−大友のFire-Ball的な…。空木−時をかける怨女。平山−同情は自己満足、やるせなさの果に殺戮の上書き。井上−老いた獣と云えどそう都合よく…。黒−最後に神との出会いを果たすのか?黒木−妖しの純粋、人の身勝手。有栖川−場違いな印象。2024/04/13
Shun
35
シリーズ復活後の第8弾は”乗り物”がテーマ。車や電車を始め考え付くだけでも相当な種類があるテーマでしたが、さすがは異形コレクションに参加する作家だけあって私が思いもよらない”乗り物”を登場させてきた。人力車や籠はまだ乗り物としての範疇に入ると思うが、カーラボス(伊勢海老)に土蜘蛛となるともはや馬鹿げている。が、そういう話こそ読みたかったんだとこの企画に喝采を送る。そして醍醐味は変な乗り物だけじゃない、逆に電車というありふれた乗り物でシュールな日常を描いて見せた柴田勝家の「電車家族」は実に愉しい作品でした。2024/02/25
らすかる
29
テーマは「のりもの」。16人の著名作家がSFやホラーや様々なこった趣向で乗り心地を提供してくれる。個人的にクセになった乗物は、大島清昭「車の軋る町」、上田早夕里「車夫と三匹の妖狐」、篠たまき「天眼通の夢」、柴田勝家「電車家族」、芦花公園「カイアファの行かない地獄」。また乗車したいです。2024/01/26