出版社内容情報
白椿女学館に通う令嬢・麿緒は、父の自殺、婚約破棄と予期せぬ不幸に見舞われる。そんな彼女に手を差し伸べたのは、資産家・宗次郎。借金や住んでいる洋館を保証するかわりに、妻になるように告げる。戸惑う麿緒だが、現在の成功を手に入れるまでの彼の努力や考え方を知り、次第に心を開くようになる。そして、亡き母の影響で得た洋食器の知識が、宗次郎のビジネスに役立つことを知り、その力を活かし、生きることに目覚めていく。
内容説明
女学校に通う桂小路麿緒は、婚約披露の園遊会当日に、父親に自殺され、爵位も家も失い、無一文となった。救いの手を差し伸べたのは、一代で身を起こし、財をなした時任宗次郎。自身の妻になるか、商売で役に立つなら屋敷においてやってもいいと言う。言葉は辛辣だが、行動自体は親切な宗次郎。彼には、麿緒には伝えていない過去の思い出があったのだった―。
著者等紹介
尾道理子[オノミチリコ]
2020年、第5回角川文庫キャラクター小説大賞“読者賞”を受賞した『毒母の息子カフェ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
46
落ちぶれ華族の令嬢とクズ父、初恋成就やら颯爽と現れる救いの王子?様やら。平安時代のこのパターンも好きだけど明治物も楽しい。ティーカップの付喪神の猫が可愛いのでシリーズ化してほしいけれどトラブルは片付いてしまったしなあ。2024/04/27
よっち
37
婚約披露の園遊会当日に父親に自殺され、爵位も家も失い無一文となった女学校に通う桂小路麿緒。一代で身を起こし、財をなした時任宗次郎が手を差し伸べる明治ロマンス。借金で屋敷も抵当に入った状況で婚約者にも見捨てられた彼女の窮地を救った宗次郎。妻になるか、商売で役に立つなら屋敷に置いてもいいと言う彼の条件を飲み、学校に通いながら仕事を手伝い始める麿緒。言葉は辛辣でも優しい宗次郎に応えようとするうちに、少しずつ変わってゆく彼女の姿勢があって、彼女を救った彼の秘めた想いも明らかになってゆく展開はなかなか良かったです。2023/10/02
よっしー
20
図書館でみかけ、手に取りました。シンデレラストーリーではあるけれど、磨緒が自分の力(ティーカップの目利き)で周囲を見返していく所が面白かったです。そして、そうあれるように…と手配した宗次郎また格好良いです。最後は、2人の幼き頃に交わした約束が時を超えて果たされる…嬉しい展開でした。素敵なティーカップとアフタヌーンティー、私もしたくなりました。2025/02/27
はなりん
15
明治、女学校、華族、付喪神…。ワクワクするキーワードが並ぶお話。素敵な洋館に住む男爵令嬢の麿緒。実状は余裕がなく横柄な父男爵の言われるがままの生活を強いられていたが、婚約披露の日に父男爵が自殺し、何もかも失ったところに現れた実業家の宗次郎。そこから少しずつ自分を取り戻していく麿緒と宗次郎の想いが近づいていく様子が楽しい。付喪神が視える麿緒と宗次郎に懐いてる黒猫など今後の展開が期待できそう。2024/11/03
紅羽
9
落ちぶれた家を救う為、婿を取る事になった磨緒。しかし婚約披露宴当日、父親が自殺した事から婚約者は去り、無一文になる。そこに手を差し伸べたのは成金の宗次郎。彼に求婚を受け入れるか仕事で役立つかを迫られ、戸惑いながらも磨緒は仕事で一つの成果を示し、少しずつ失われた自信と自身を取り戻していく。素敵なシンデレラストーリーでした。二人を結びつける出会いのエピソードも良かったです。2023/11/15