内容説明
ひとりのこされた若妻、禎子は、夫の行方をさぐるため、深い謎の中に踏みこむべく、西の古都金沢へと旅立つ。夫はなんのために失踪したのか、あるいは失踪させられたのか?北陸の冷たい風光を背景に、追いつめられた人間の孤独と恐怖を描きつくし、最初から恐ろしい緊迫感に読者を引きこんでゆく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nakanaka
71
初めての清張作品でした。松本清張が日本の推理小説界の大家であることを大いに感じられる作品でした。新妻の禎子は行方不明になった夫・憲一の手掛かりを探すため単身赴任先の金沢へと向かい、夫の失踪に付随する形で様々な事件が巻き起こるという内容。捜査にド素人の禎子が推理して犯人までたどり着いてしまうわけですが、そんなにズバズバ推理できるかというツッコミはそこまで感じられず、ストーリー展開に無理が無く重厚感すら感じられました。様々な布石が上手いのが理由なのではないでしょうか。満足な読書でした。2019/04/30
gtn
28
今まで著者の本を一度も手に取らなかったことが悔やまれる。予測する余命から逆算しても、膨大な著作すべてに目を通せるか甚だ疑問。みうらじゅん著「清張地獄八景」を手引とし、みうら氏が推薦する順に、今後読み進めていきたい。2022/07/24
jima
13
主人公は26歳の禎子。広告代理店に勤める鵜原憲一と見合い結婚し、新婚旅行を終えた10日後、憲一は、仕事で金沢へ行ったまま行方不明に。戦後の風俗や混乱が。2022/01/16
ひなた*ぼっこ
8
初松本清張。10年近く積読だったけど、今読めてよかった。10代では理解できなかっただろうな。物語に常に寒々しいくらいの寂寥感が付きまとう。なぜ男は新婚一週間にして突如失踪したのか。昭和の時代背景を活かした推理小説。張りつめた緊張感と迫力が凄い。2021/04/27
tono
7
松本清張初読み。1冊読んだくらいで何がわかるか!と怒られそうですが、昭和だな、ということと、趣豊かな情景描写は美しくも冷気を感じさせ寂しげだ、ということと、先読みしにくい序盤の構成は流石だな、ということと、なんと言っても主人公の静かなる強さが魅力的。ということが読後直後の感想です。 近々もう1冊、清張作品に挑みたいと思います。次は砂の器かな~2018/02/05




