内容説明
明治四十四年初夏、東京。地蔵の上に生首が載ったとき、狐の顔の怪人が出現する…。怪談として広まった「首切り地蔵の呪い」は、首無し死体が発見されるに及んで、陰惨な殺人事件に姿を変える。それでも、偶然この怪事件に遭遇した青年作家・鳥部には、「これは呪いではないのか」という思いが消えない。なぜなら彼も、生首と闇に浮かぶ白い狐の顔を見てしまったから―。信じたくないものを、見てしまったから―。
著者等紹介
相原大輔[アイハラダイスケ]
1975年、福岡県生まれ
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感想・レビュー
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雪紫
32
明治時代。4体の首なし地蔵の上に生首が載り、狐面の怪人が現れる・・・。第3の死者にはあ、やっぱりな感覚を持ちながらも物語は淡々と進むがだからこそ鳥部達を振り回した「呪い」が明かされた瞬間口には出さなかったものの「ぞぞぞー」となってしまった。推薦は若竹さんより霞さんの方が良かったのでは、というネットの感想で興味が湧いて読んだけど、確かに納得。謎はすべて(?)明かされたのに何処かミステリ仕立ての怪談を読んだような感覚。2020/08/02
イシグロ
12
舞台は明治四十四年。坂の上にある神社、首なし地蔵にのせられた生首、そして現れる狐面の怪人、と怪談めいた道具立てはよい感じ。文章も雰囲気があって、帯で若竹七海の言う通り、新人離れしています。『百鬼夜行シリーズ』に通じる感じもありますね。 あのトリックに関しては賛否あると思いますが、自分は賛です。これぞ物理&心理だし、読者の脳内に映像を喚起させるようなトリックはそれだけで勝ちですよ。 相原氏はこの作品がデビュー(2003年)でこの後は一作長編を残したのみで姿を消してしまっているようで残念。次作も読んでみます。2021/02/13
ホームズ
3
『キルケーの毒草』がよかったので読んでみたけど・・・。こちらのほうが先だからなのかもしれないけどチョット落ちるかな。2006/02/21
紫
2
『本格ミステリ・ディケイド300』にも選出された明治綺譚であります。古い因習と新しい価値が混在する明治末年。端正、耽美な筆致で描かれる明治風俗は、雰囲気たっぷりで相当のクオリティですが、その場限りの描写が多く、物語の中に活かされているとはいえないのが何とも残念なところ。展開もけっこう唐突の感があります。古式ゆかしい探偵小説(?)風に淡々と進んでいくのですが、終盤で突如明らかになる「呪い」なるものはバカミスそのものでありまして唖然茫然。そして、結末の「真相」は蛇足だったのでは? 星3つ。2014/04/26
通りすがりのブッカー
2
キャラが立っていて掛け合いが良かった。トリックはそう来るか!といった感じでちょっと興味を引かれた。狙った作品だと思うが、酷評されてる理由がちょっと分からない。楽しめます。雰囲気が好き。2012/07/14