内容説明
「友情」の多様性をとらえるヒントは哲学にある。哲学者たちが考えた友情観を人気漫画を例に解説!
目次
第1章 友情とは何か―アリストテレス
第2章 友達のための嘘は許されるか―カント
第3章 友達とわかり合うことができるか―ニーチェ
第4章 見返りのない友情は可能か―ヴェイユ
第5章 女性の友情とは何か―ボーヴォワール
第6章 友情と恋愛の違いは何か―フーコー
第7章 友達に依存するのは悪いことか―マッキンタイア
著者等紹介
戸谷洋志[トヤヒロシ]
1988年、東京都生まれ。関西外国語大学准教授。法政大学文学部哲学科卒業、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フム
35
図書館本。7人の哲学者の友情観。漫画に描かれた友情を交えて語られとても読みやすい。大学の講義をまとめたということで、友達関係に悩む今の若者のリアルも感じることができた。 善良さに基づく友情を理想としたアリストテレスと、道徳的に行為できる人間同士が本音を言い合えるような関係を理想としたカント。彼らの伝統的な友情観は互いに自律した個人の間で交わされ、同質性が前提。古代ギリシアに由来する男性的な友情である。それに対してニーチェは同質性よりも、成長するためのライバルの関係を理想とした。 2023/06/24
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
21
登場する7人の哲学者はいずれも西洋人、じゃあ東洋での友情ってどうなの?と不思議に思いつつ読み進めた。友情って支え合うことなんだろうとまとまりかけたところ、友情と恋愛の違いの項でちょっと混乱。そこでプライベートゾーンの尊重にたどり着いた。自律自立したもの同士の関係から相互依存へと変化できたのはマッキンタイアによって。鶏が先か卵が先か、真の自立とは依存先をいかに多く持てるか、という昨今のケアの現場でいわれることに思い至る。当たり前だと思ってる概念が、キリスト教布教のために都合よく形作られたものという印象を持→2024/03/08
だてこ
14
タイトルのとおり、友情とは何かをアリストテレスやニーチェなど七人の哲学者の考えを元に考える本。面白かった!それぞれの哲学者がなぜその考えに至ったのかの過程や当時の課題感がきちんと書かれていて理解しやすい。マンガの一コマを取り上げているのも面白い。ONE PIECEで始まりONE PIECEで終わりましたわ。友情って色々な形があるなぁ。2024/01/30
はるき
13
哲学と人気漫画をコラボさせる画期的な本。人間関係の悩みは洋の東西を問わず普遍的で、いつの時代もアタマが痛い話なわけです。友達の定義は難しいですが、親友を探すより、良き隣人である方が近道かもしれません。2023/10/16
Iwata Kentaro
12
今、注目してる哲学者の新著。ちょー面白かった。アリストテレス、カント、ニーチェ、ヴェイユ、ボーヴォワール、フーコー、そしてプラトンと展開していく友情論の変遷が実にエキサイティングだし、こちらが発出する疑問へのピンポイントな答えになっているのが素晴らしい。マッキンタイアは知らなかったのですがアリストテレス主義者なのですね!漫画の方はワンピースと「ライオン」しか読んでません(笑)。2023/03/03