内容説明
日本を支配する謎の最強官庁。ロングセラー『検証 財務省の近現代史』『検証 検察庁の近現代史』に次ぐ三部作完結編!
目次
序章 内閣法制局とはなにか
第1章 佐藤達夫長官―憲法と現実の矛盾の間に
第2章 林修三長官―憲法第九条を骨抜きにする
第3章 高辻正巳長官―「一国平和主義」の開祖
第4章 吉國一郎長官―天皇をロボットにした男
第5章 真田秀夫長官―言いなりになる自民党
第6章 安定する内閣法制局の権威
第7章 横畠裕介長官―内閣法制局の病理
第8章 近藤正春長官―本来の法制局の仕事
著者等紹介
倉山満[クラヤマミツル]
1973年、香川県生まれ。憲政史研究者。(一社)救国シンクタンク理事長兼所長。’96年、中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員として、2015年まで同大学で日本国憲法を教える。現在、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」を主宰、積極的な言論活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中玉ケビン砂糖
52
「日本で行政を担うのは?」「内閣?」「違います」とキツめの例題から開幕。内閣法制局に配属される官僚は、「『法解釈がすべて』という修行僧のような人たち」と形容されている。六法を一言一句暗記し(ドラマなどで見かける事典サイズのものは、実は「アレ」でも抄録らしい)、一日中「通せるようにするための」法案作成に勤しみ、いらぬ議員立法を除け、「自衛の定義とは何か」「何故開示できないのか」という面倒な質疑にのらりくらりとした言葉で答弁しつつ、心の中で(俺らがそう解釈するからだよ)と毒づく。2022/09/16
南北
38
本書の帯にあるように「謎の最強官庁」といえる内閣法制局について、戦後政治にどのような影響を与えてきたかがわかる本。一般には「後法優先」といって、現在の法律と矛盾する点があれば、後からできた法律が正しいと解釈されるのだが、日本では内閣法制局が過去の法律と矛盾しないようにするという謎の役割を果たしている。さらに高辻長官以降「一国平和主義」に傾くことでさまざまな「毒」が憲法解釈などに入り込んでいるとしている。本書は内閣法制局の歴史を振り返ることで日本の政治のどこに問題があるかを指摘した良書だと思う。2022/09/14
てつのすけ
24
本書は、法制局の所掌業務、歴代法制局の憲法9条の解釈の変遷、内閣と法制局との関係について、まとめられている。法制局が、内閣を上回る権力を有しているとは、事実であれば問題であると思う。その原因の行き着く先は、我々国民にあるのだが。2023/09/20
WS
6
憲法解釈は法制局の個人技によるところが大きく、長官の姿勢でどうにでもなっているということがわかった。2022/10/07
めぐりん
5
歴代長官を評する(筆者の立場はさておき、)読み物としては興味深い。法制局の実際的権限が立法過程における解釈顕現のみならず、予算統制が効かない、法案審査への拒否権、「後法優先主義」の排除からなる指摘には納得。2022/10/08
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