出版社内容情報
「セルフトラッキング技術」のようなテクノロジーの最新事例を踏まえながら、その利点と問題点の双方を明らかにする。
目次
第1章 「分かる」と「できる」の間の深い溝
第2章 定量化される自己
第3章 定量化される関係性
第4章 測定されるものは管理される
第5章 セルフトラッキングの可能性
第6章 道徳性を補完するテクノロジー
最終章 慎重で開放的なスタンス
著者等紹介
堀内進之介[ホリウチシンノスケ]
博士(社会学)。専門は、政治社会学・応用倫理学。東京都立大学客員研究員、Screenless Media Lab.所長、ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まゆまゆ
17
誰しもが分かっていてもできないと感じることを、データの可視化によって自分を含めて気付きを与えることの功罪を両論から考察していく内容。ヘルスケアに代表されるセルフトラッキングによって可視化されたデータは確かに便利だが、倫理的にどうなのかは議論されつくしておらず、慎重にかつ開放的に取扱うことが必要である、と。2022/08/23
shimashimaon
8
セルフ・トラッキングにより数量化された自己は、より良い選択を可能にすると共に他者との良好な関係構築に寄与する。私自身も好んでそうした技術を身に纏っているのですが、一方的に良いものとして押し付けられるとしたら恐ろしいです。フーコーを引きながら技術に従属するのでなく能動的に関わっていくことは新しい課題ではないとしながら民主的プロセスが重要であることを示している点で安心感があります。ですが、民主的なプロセスがどこまで可能かは些か心許ない感じがします。「私たちは誰もが実践的な倫理学者でなければならない」からです。2022/08/21
たか
7
セルフトラッキングを主としたデータ管理に賛成の立場から倫理学的検討を行う。人間のダメさを補完する技術として歓迎し、かつ単純な楽観論ではなく反対意見も5つの論点にまとめて丁寧に検討している。これらはいずれも自由・自律性の問題であるが、そもそも我々は生まれながらに自由なのだろうか?確かに数値化は一方的な依存や価値の道具化に繋がる危険もある。しかし、自由や自律を人間内部で完結するカント的自律としてではなく、外部との関係のなかではじめて達成される「関係的自律性」と捉えると、著者の意見がよく理解できた。2024/05/08
Hiroki Nishizumi
6
従来自分は測定化計量化を良きものと考えていたのだが、最近古典を読むうちに疑問を感じるようになってきた。本書を読んでも解答は得られなかったが、盲点の窓は探っていきたい。2023/03/26
読書熊
5
セルフトラッキングの功罪を整理する2022/07/18