出版社内容情報
外国人に依存するニッポンの現状を、公表されたデータから分析し全国各地を取材。移民国家となりつつある日本のこれからを考える。
内容説明
改正出入国管理法が2019年4月から施行され、外国人の受け入れ拡大が進む日本。だが、現実は私たちの想像をはるかに上回る。もはや企業も自治体も、そして日本社会全体も外国人なしでは成り立たないという声が各地で上がっているのだ。職場の戦力として、地域の一員として、言葉の壁やいじめ、孤独や老いに悩む一人の人間としてこの国で生きる彼ら彼女らの、等身大の姿を見つめ直さなければならない。NHKの特設サイト「外国人“依存”ニッポン」取材班がオープンデータを独自に分析し、日本社会で進む外国人への“依存”の実態を明らかにする。
目次
第1章 「労働者」として考える外国人“依存”(外国人がいなければ続けられない;選ばれない国・日本)
第2章 「社会の一員」として考える外国人“依存”(日本人の減少を埋める外国人;超・多国籍化する街 ほか)
第3章 「人生」「家族」として考える外国人“依存”(「誰も知らない」子どもたち;いじめとルーツ ほか)
第4章 「移民国家」の事例から考える外国人“依存”(OECD第2位の増加数;目指すは移民の“統合”―ドイツ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サアベドラ
34
移民国家・多民族国家としての日本の実態をNHKがデータや取材でまとめたルポルタージュ。2019年刊。2019年4月の改正出入国管理法によって今後日本で暮らす外国人が増えるという議論があったが、日本は数年前からすでに多くの分野で外国人労働力なしに立ち行かなくなっており、彼らは日本のあちこちに定住しそれぞれの地域に根付いている。他方、技能実習生からパスポートを奪い関係を迫る、外国人の子供を差別しいじめるなど日本人の浅ましい部分も沢山出てくる。国としても国民一人ひとりとしてもこの現状に目を背けるべきではない。2020/09/02
てくてく
12
コンビニで、レストランで、日本で働いている外国人を見ない日はない。入管法改正で「実習生」の対象も増え、今後はさらに外国人に頼る場面が増えてくるだろう。他方において、実のところなにを学ぶのかよくわからない「実習生」を労働者以下の過酷な状況に置くなどの問題が明らかになっている。そういった問題を考える上での基礎となる、データに現れた外国人を解説しており、参考になる一冊だった。2019/12/26
Nobu A
11
まだ新刊ホヤホヤの2019年10月初版。人口2%を占める外国人。技能実習制度や留学生増加計画で積極的な移民政策を取っていない日本の現状を地域別増加率や漁業や介護の産業別等の豊富な資料と現地視察や関係者インタビューで詳述。終章には数カ国の移民国家の事例紹介。言い得て妙なタイトル「依存」の進展度に驚く。不就学外国人や実習生の人権侵害等、多くの問題も抱え一筋縄では行かないだろう。あとがきでも触れているが、弱い立場の少数派が幸せに暮らせる社会は多数派にとっても幸せなはず。これは全ての社会問題に共通すると思う。2020/04/04
ta_chanko
9
隠れた移民大国・日本。先日の出入国管理法改正も移民大国化に拍車をかける。いわゆる「移民政策は採らない」としながらも、「留学生・技能実習生」として都合のよい低賃金労働者を大量に受け入れている。そして外国人労働者の存在なしには農業・漁業・製造業・サービス業のすべてが回らなくなっている。問題は外国人労働者の人権が十分に守られていないことや、日本で生まれ育った外国人の子どもたちが十分な教育を受けられずにいること。まさに「労働力を求めたが、やってきたのは人間だった」状態。2019/12/13
いっち〜
7
初版が2019年10月で掲載データも全て新型コロナ禍前のだけど、確実に本書の内容より状況は厳しく複雑になってそう。各種データから考察し、事例を取材の流れは良かった。テーマも多岐に渡り、外国人高齢者等初めて知ることもあった。この辺は流石NHKの取材力と構成力。一方、一つ一つのテーマの文量は多くなく、広く浅い。また、日本で会社を経営する外国人等取り上げられてない人もいるし、技能教習生も肯定的な意見がないのは少し不満。基本的に最初の足がかり的な本で、悪くはないけど具体的な問題の掘り下げは他の本の方が良さそう2021/05/22