出版社内容情報
吉川徹[キッカワ トオル]
著・文・その他
内容説明
「団塊の世代」退出後の社会に忍び寄る危機とは!計量社会学者が描き出す“明日の日本の姿”。なぜ、「格差」は「分断」に変わるのか??
目次
第1章 忍び寄る次の時代
第2章 現役世代の再発見
第3章 学歴分断社会
第4章 人生の分断
第5章 分断される「社会の心」
第6章 共生社会に向かって
著者等紹介
吉川徹[キッカワトオル]
1966年島根県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は計量社会学、特に計量社会意識論、学歴社会論。SSPプロジェクト(総格差社会日本を読み解く調査科学)代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
97
「日本の分断」という刺激的なタイトルに惹かれて購入したが、若干期待はずれ。20歳から60歳までの現役世代を年齢(若年と壮年)、性別、学歴(大卒、非大卒)の八つのセグメントに分けて論じた本。総じて、まあなるほどなという分析ではあるが、これまでにあちこちで見聞きした事ばかりで、特に新鮮みを感じなかった。学歴だけが唯一自分の力でコントロールできる事象ではあるが、最近では学歴の再生産化も指摘されこのまま「分断」されていく傾向が強まるのだろうか。最早「大卒」というだけではメリットの無い時代だが……。★★★2018/07/31
なかしー
61
自分の感想に引っ掛ける、納得がいかなかったので再読。 メインなテーマときて国内の非大卒若者(特に男性)たちが社会的な基盤の縁の下の力持ちとしてなっているが、雇用が不安定、低収入、幸福度、社会的活動への積極性などが低いなどについて言及している。 海外からの労働者を受け入れれば?と言うツッコミにもメンバー不足を補うだけでは虫の良い話で、それらを受け入れるのにも社会的保障などの整備に時間が掛かる。その為、今いるメンバーでどう問題に立ち向かうか?チームジャパンとしてONE TEAMとなる必要があると主張。2020/01/22
きいち
42
チャレンジングな一冊。◇分断は、仕事のなかで日々感じている。それは自分が「たまたま」それを感じる環境にいるからなのだろう、ミーティングを共にする人々が世の中みな大卒を前提に話していると感じることは少なくない。求人市場に接していると、非大卒のスポンジ部分と細かな差異が重なる上側の大卒部分という「ミルフィーユ」の比喩はとても実感に合う。◇「軽学歴という選択が不利益にならない社会を」という著者の提案に賛同する一方で、学歴変更なしを前提にするのではなく、成人後も簡単に学歴変更が可能な世の中にしたい思いを強くした。2018/08/16
壱萬参仟縁
40
(逆説的ではあるが)社会が流動化すればするほど、変わらない基本属性が、わたしたちを社会に結び付けるはたらきは強まっていく(6頁)。計量社会学の著者が指摘することだから、この逆説は心しておいてよかろう。現代日本社会は、格差社会というより、分断社会と呼ぶべき様相を呈しはじめている(9頁)と指摘される。そして、4月に『週刊ダイヤモンド』や『週刊東洋経済』に特集記事があったように、既に「階級社会」とも称されていることにも注意が必要だ。著者は、分断の4条件として、境界の顕在性、成員の固定性、2018/09/08
禿童子
34
同じ著者による2009年『学歴分断社会』と同趣旨だが、2015年実施の大規模調査「SSM2015」と「SSP2015」の結果を取り入れて分析の解像度がアップ。日本の現役世代(20~50歳代)を非大卒者と大卒者に二分する学歴分断線によって経済的・社会的・文化的な格差が生じているとする。さらに男性と女性、若年(20~30歳)と壮年(40~50代)の基準で8通りのクラスターを比較し、最も不利な若年非大卒男性への支援を説く。前著で「とにかく進学を」と言っていたトーンを変えて、非大卒者は日本の宝と持ち上げている。2018/09/12