内容説明
2015年は、アルベルト・アインシュタインが一般相対性理論を創り上げてから、ちょうど100年にあたる。一般相対性理論は20世紀の物理学を一変させたが、この理論が描く世界は、アインシュタイン自身の想像を超えるほど奇妙なものだった。誕生から今日までの100年の間に、一般相対性理論がどのように理解されてきたのかを俯瞰すると同時に、“ブラックホール”“膨張宇宙”“重力波”という、アインシュタイン自身が一度は拒否反応を示したものの、現在では研究の主流となっている3つのトピックを概観。現代物理学の知見は私たちに何をもたらすのか―。最新の研究成果を交えて探る。
目次
第1章 アインシュタインとその時代
第2章 特殊相対性理論―光速に近づくときの物理法則
第3章 一般相対性理論―強い重力がはたらく世界の物理法則
第4章 ブラックホールで見る100年
第5章 宇宙論で見る100年
第6章 重力波で見る100年
著者等紹介
真貝寿明[シンカイヒサアキ]
1966年東京都生まれ。大阪工業大学情報科学部教授。早稲田大学理工学部物理学科卒業。同大学院博士課程修了。博士(理学)。早稲田大学助手、ワシントン大学(米国セントルイス)博士研究員、ペンシルバニア州立大学客員研究員(日本学術振興会海外特別研究員)、理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロッキーのパパ
23
評価は★★★★(満点は★★★★★) 一般相対性理論が発表されて100年、そして重力波発見の報告をきっかけに手に取ってみた。 ブラックホールと宇宙論、そして重力波の観点から一般相対性理論の研究の歴史を語っている。新書としてはかなり高度な内容も含まれているが興味深く読めた。 中高生のときは物理学者を目指していたんだけど、そのとき一般相対性理論は難しいし、実験できないから研究対象にならない言われていた。今は数値シュミレーションで研究できる分野になったんだ。好奇心が刺激されたんで、ファインマン物理でも読もうかな。2016/03/17
haruka
17
アインシュタインは事実を観察したり検証して相対性理論を組み立てたのではなかった。彼は自然の奥深くに隠されていた重力の秘密を、彼自身の信念と物理的な美的感覚で見抜いていた。「重力は空間のゆがみであるはず、そして重力を記述する数式にはきっとリーマン幾何学のテンソル計算が関係しているはず、そして時空の曲率はこの組み合わせでないといけない」という洞察力と美的センスが素晴らしかった。物理学者である著者は「よくぞこんな難しくて地味な計算が重力に関係していると看破できたものだと今でも思うし畏敬の念を感じる」面白かった。2023/02/11
文章で飯を食う
12
重力波の観測を記念して、関係本の再読月間。本書はわかった気にさせてくれるし、人間ドラマは面白いし、傑作である。 2017/08/28
うごうご
11
重力波とは何ぞや?と思って読んでみた。読み終わった今の感想は、重力波とは何ぞや?です。2016/06/01
文章で飯を食う
10
相対性理論から、宇宙論が発展していく歴史や人間ドラマが面白い。アインシュタインの頭の中から出てきた理論が、その後の検証に耐え、豊かな果実を実らせる。天才ってすごいな。2016/04/01