内容説明
すべてを失って沖縄の那覇に渡った男性から、タイのチェンマイでライフワークを見つけた女性まで。「生きづらさ」を抱えてきたそれぞれの男女たちは、新しい場所でどんな人生を歩みはじめたのだろうか。主にアジアと沖縄をフィールドに旅してきた著者が彼らの心に耳を傾けて紡ぎ出した、ちょっぴりせつなくて心温まる九つの物語。
目次
第1話 生まれ変わる―沖縄・那覇
第2話 儲け―カンボジア・シェムリアップ
第3話 ライフワーク―タイ・チェンマイ
第4話 表と裏―中国・上海
第5話 身の丈―ラオス・ビエンチャン
第6話 中途半端―タイ・バンコク
第7話 結婚―ベトナム・ホーチミンシティ
第8話 コールセンター―タイ・バンコク
番外編 ホームレス―タイ・チェンマイ
著者等紹介
下川裕治[シモカワユウジ]
1954年長野県松本市生まれ。旅行作家。慶應義塾大学を卒業後、新聞社勤務を経て独立。90年、『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)で旅行作家デビュー。以後、主にアジア、沖縄をフィールドに、バックパッカースタイルでの旅を書き続けている。『南の島の甲子園』(双葉文庫)で二〇〇六年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
退屈しのぎ本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
48
アジア在住の日本人9人の本音に迫ったシビアなルポである。東南アジアで日本人はしばしば「バナナ」と呼ばれる。外見は黄色だが中身は白人という意味だ。安く旅する著者でも冷房の効いた店で食事がしたい。それがどれほど贅沢な事か。日本人と結婚すれば嫉妬や嫌悪に晒される場所も多い。心を病んだ男性が、ふとしたきっかけで現地女性と結婚する話は、心がざわざわした。理屈で分かる事と受け入れる事は違う。一歩ずつ理解を深めるのは険しく長い道だ。結局、肩の力を抜いて生きるには、日本の風土は強迫的過ぎるという事だろう。2018/09/12
壱萬参仟縁
12
月1回ペースでアジアへ旅行される著者(カバー裏)。ヴァイタリティあるなぁ。「金がないのは楽」(25頁)。こうした考えは、先進国病に陥っている日本人には出てきにくい発想、価値観。ラオスで食堂を営む坂野先生も評者のように痛風とのこと。発症時期も似ている感じ。妙に親近感が湧いてきた(103頁~ 苦笑)。ストレスが痛風を誘発する(105頁)。おっしゃるとおり。40歳過ぎてからの就職は困難(109頁)。日本では。海外に出るしか活路なしなのか? JICAのシニアボランティアもあるけども。森嶋通夫先生の没落日本を逃避?2013/07/24
いっしー
10
様々な事情を抱え日本を捨て、東南アジアで暮らす人々のショートストーリー集。何かと世知辛い世の中、心身ともに耐えることができずに、物価が安く住みやすいと思われる暖かい国へ逃避行するのだろうが、その国でも ストレスフリーでは当然生活することはできない。ある意味、生き抜くということはどういうことかを教えてくれる本でもある。ラストの、万引きや不法行為を繰り返し浮浪者として生き抜く中年男性の話は切なさ満点だ。2017/09/15
pom
6
東南アジアでは物価が安く、のんびりと暮らせるというようなイメージかと思ったが、そう楽でもないようなケースが紹介されている。どこに居ても生きやすくはない時代かと思った。沖縄移住者がそのうち熱がさめウチナーンチュがいやになってくるという話に桐野夏生「メタボラ」を思い出す。 印象深かったのが、タイでホームレスになり万引きを繰り返す中年の話。日本で福祉のお世話になっている方がよっぽどましでは?これは日本の恥かも2016/06/15
BluePlanet
6
★★★2012年12月20日発行。日本から飛び出しアジアで生活する日本人9名の紹介本。アジアを旅する著者がアジアで出会った日本人だが、ある意味日本で生活できず、日本を飛び出したアウトロー的な人のアジアでの生活の一面の紹介。ちょうど時期的に日本の景気がどん底のころの、日本での就職が難しい時期の話なので、今とはちょっと環境が異なるかもしれないですね。最後のホームレスの話はちょっと可哀想すぎますね。万引きを繰り返し、タイの警察にも同情されるも、追い出され・・・日本にいれば生活保護を受けれたのかもしれないのに。2014/12/28
-
- 和書
- 少年と犬 文春文庫