光文社新書<br> 西洋音楽論―クラシックに狂気を聴け

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光文社新書
西洋音楽論―クラシックに狂気を聴け

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334036591
  • NDC分類 760.4
  • Cコード C0273

内容説明

ヨーロッパという、私達とは一万キロ以上も離れた土地に生まれ、日本に移入され、僅か百年程の間に独特の発展を遂げたのが、現在の日本のクラシック音楽である。それは既に私達の文化に深く広く根を張ったかの様に見えるけれども、その先に咲いた花の形質は、現地(ヨーロッパ)に咲いている物と、何処か違っている様に思う。何故花の色形が変わってしまったのか、違うとしたら何処がどう違うのか、そしてその違いが齎す結果とは何なのか。作曲家・指揮者としてヨーロッパで活躍してきた著者が、その体験を軸にゼロベースで考える、西洋音楽の本質。

目次

第1章 本当はアフタービートだったクラシック音楽(ウィーン郊外のスタジオで;行進曲は左足で踏み出す;ベートーヴェンが聴くロック音楽)
第2章 革命と音楽(フランス革命とコンセルヴァトワール;装飾のパラドックス―モーツァルトの場合;狂気のクラシック音楽;十二音音楽とロシア革命;禁止される音―当局が真に恐れたもの)
第3章 撓む音楽(古武術のようにヴァイオリンは弾けない;スウィングしないクラシックなんて有り得ない)
第4章 音楽の右左(カタカナの功罪;左利きに音楽はできない―筈はない;世界で唯一タンギングをしない国・日本;邦楽器は何を語るのか;饒舌なヨーロッパの音楽)
第5章 クラシック音楽の行方(クラシック音楽は―多分―死なない;音楽家への提言)
第6章 音楽と政治(未来への暗示;君が代を歌って…)

著者等紹介

森本恭正[モリモトユキマサ]
1953年東京都生まれ。作曲家・指揮者。有明教育芸術短期大学教授。東京藝術大学中退。桐朋学園音楽大学、南カリフォルニア大学大学院、ウィーン国立音楽大学で学ぶ。1987年より、「ENSEMBLE9」主宰。「YUKI MORIMOTO」として主にウィーンで作曲・指揮活動を展開。現在、ソロ作品から管弦楽曲まで百六十余作品を数え、DIE EXTRAPLATTE社より6枚のCDを発表。2007年及び2008年、ポーランド・ルトスワフスキ国際作曲コンクールの審査員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

1959のコールマン

56
☆2。最初は読みやすい。クラシックの本質はアフタービートでは?というテーマでちょっと小説仕立てのような文章が続く為、次はどうなる?次はどうなる?と興味深くよんだ。だが、第四章の「音楽の左右」から雲行きが怪しくなる。やたら理屈っぽくなるし、リズムの件もあまり出て来なくなる。確かにその理屈の内容は首肯出来るものが多いが、クラシック、純邦楽関連の音楽本をある程度読んだ人間からすると「だから何なんだ」と言いたくなる当たり前の事ばかり。脳の話が出てくる部分では、日本人の音の聞き方が出てきて、↓2021/09/15

巨峰

20
12月発売の新書は、クラシック音楽のがいっぱいで、なんでこうまとまるんだろうと。。。この本は、西洋クラシック音楽の特異性を、日本や東洋の音楽と対比して、ポップス・ロックと対比して明らかにしていく。ヨーロッパ留学を経て日本に帰ってきたときに、音楽をきいたら、クラシックでもジャズでもポップスでも、演奏をきいただけで、日本人が演奏しているのか、その他の西洋人が演奏しているのかというのがわかったというのがちょっとびっくりだけど、そういうことってあるでしょうね。2011/12/20

かしまさ

13
西洋音楽の特徴を挙げつつ、クラシックからロックまで連綿と続く特徴があるんです、という面白い切り口で解説する音楽論でした。民族ごとの「土着のリズム」の存在について懐疑的だったんですが、意識しなくてもそういうものを小さい頃から聞き続けていれば、何を良しとするかに一定の傾向が生まれるのかも知れない。東洋との対比も面白かった。2021/03/05

アルゴス

7
「クラシックに狂気を聴け」というサブタイトルにはちょっと引きそうだけど、西洋の音楽と東洋音楽の違いをスウィングのあるなしで考察するというユニークな視点のクラシック音楽論。「ため」の感覚がない日本人のクラシック音楽家は、どれほど巧みに演奏しても、曲の心をつかみ損ねるという指摘は鋭い。マーラーのシンフォニーの演奏中に、三味線の音が一つ響いただけで、シンフォニーの全体が消滅したという指摘も面白い。自然の多様な音を締め出さないと成立しないクラシック音楽の人工性には、繰り返し考えさせられる。2018/02/15

牧神の午後

6
「生物と無生物の間」もそうなんだけど、随筆っぽく論を展開される本とは正直相性が悪い。様々な音楽家達との対話から西洋音楽の特質、それに対立する民族音楽、現代音楽と著者の思想は続いていく。語らない日本の音楽など示唆に富むものも多いのだけど、たとえば、裏拍の強調はケチャもそうだし、なによりラストの君が代で行進できないってのは、小学生の時に君が代マーチを鼓笛隊で演奏した人間としては違和感ありまくり(笑)。2017/07/06

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