内容説明
地球上に110億!食の神話を支える「家畜の最高傑作」の実力と素顔を公開。
目次
第1章 なぜ人はニワトリを愛でるのか(幻の鳥を求めて;「空気化」した食品;食の神話を支える;ブロイラーの真実)
第2章 家畜の最高傑作、ニワトリ(ご先祖様の正体;セキショクヤケイのからだ;家畜化の始まり;心のエネルギー;人の心に応えて)
第3章 ニワトリの栄光と苦悩(スターと脇役;大きさへの執着;愛が行き着く先)
第4章 日本人とニワトリ(記憶のどこかに;培われた関係;心のエネルギー日本版)
第5章 答えのない旅(日本鶏の出自;ニワトリ学のこれから;インフルエンザ、そして永遠の間柄)
著者等紹介
遠藤秀紀[エンドウヒデキ]
1965年東京都生まれ。東京大学農学部卒業。国立科学博物館動物研究部研究官、京都大学霊長類研究所教授を経て、東京大学総合研究博物館教授。博士(獣医学)、獣医師。動物の遺体に隠された進化の謎を追い、遺体を文化の礎として保存するべく「遺体科学」を提唱、パンダの掌やアリクイの顎などで発見を重ねている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラルル
33
食卓で空気化を果たした卵、そして何より身近な肉、チキン。これだけ食のイメージが強い鶏ですが食にエネルギーを注いだのはほんの数年。人と鶏の数千年に渡る関係の中で人は彼らを食べることよりも愛でることに心血を注いでいたのですね。人を魅了するその姿、声、精神。日本において他のどの家畜よりも天然記念物指定の種が多いことが彼らが愛された証拠だと感じます。闘鶏においてその戦いぶりに重きを見るアジアと、相手を死に至らしめることを目的とするヨーロッパの違いに民族性を見ました。面白い2014/11/19
Sakie
17
鶏への愛を標榜しながら、初っ端から日本の養鶏業と食の説明に明け暮れるのはどういう神経か。鶏を性能やコスパで語る時点で愛はない。都合がいいだけだ。大変に胸糞が悪い。鶏の祖先は東南アジアに今も生息するセキショクヤケイ。なぜ他の鳥でなく、鶏が家畜化されたのかというテーマ立ては面白い。しかし「多芸だから」はないだろう。日本における由来も結局曖昧だ。異分野にわたる知識やラテラルな発想力がないから冗長になる。動物福祉の素養もない。専門分野だけの専門書をお書きになればいいのに。研究者への冷遇を訴えたいなら政府へどうぞ。2018/11/24
クナコ
9
初読。一年で最もローストチキンの売り上げが伸びる時期に。いかにして鶏(チキン)が世界中の人の文化に浸透したか、しているか。題にある「愛」は需要や執着と置き換えて読む。愛護的な話ではない。鶏の大本がセキショクヤケイ、というのは別の本で学んでいた。そこから現在のエリート食材である卵用鶏とブロイラーへと至る育種の歴史に圧倒される。そして意外にも愛玩動物としての歴史も深いことに驚いた。昔私のいた大学にも絵画のモチーフとして尾が5メートルを超える鶏が飼われていたが、あれは長尾鶏だったのか、と懐かしくなった。2023/12/13
わえ
9
ニワトリが世界的にどうして食肉として最も愛され普及しているのか詳しく書かれている。市場に出回っている卵や鶏肉は、それぞれ卵用鶏と肉用鶏(ブロイラー)から生産されている。それぞれの品種が凄まじく最適化されたものだとわかった。卵用鶏は160日目には卵を産み、長くて700日目には殺され廃棄される。ブロイラーの命はわずか50日(最大成長時の2/3の重量に達する日の目安)。/ニワトリの祖先は東南アジアに広く生息するセキショクヤケイ。/さまざまな鶏の品種が紹介されている。軍鶏や愛玩鶏等。古くから人と鶏の関わりは深い。2019/11/29
みなみ
8
KindleUnlimitedから。こういう本はどれもそうだが、著者のニワトリへの愛が凄い。熱量あふれる筆致でニワトリのルーツ、種類、現代の先進国のニワトリの飼育され方が語られる。ブロイラーや卵を産ませるニワトリの徹底した管理はゾッとするが、筆者の文章はそれでも読ませてしまう。羊も毛を刈っているわけではないので、商業動物はかくも残酷な扱いを受けるものなのか(でも、かわいそうだなと思いつつ、安いスーパーの卵を買っているのが現代なのだ)2024/04/14