内容説明
文化人類学者である著者は、ミャンマー、中国、韓国の内部へと分け入り、鳥の目と虫の目でフィールド調査する。そこで発見したものは、海賊版ネットワークによってハリウッド等のアメリカ文化が受容されている現実であり、ビデオショップや喫茶店に集う人びとの体制批判であった。それら、先進諸国からすれば「非合法」なものこそ、統制社会の中にグローバル化の風をもたらすものなのだ。今こそ、こうした事実をふまえて、古いアジア像を更新する時である。
目次
第1章 アジアとアメリカ
第2章 ミャンマーの海賊たち
第3章 中国の海賊、そして文化とコピーの関係について
第4章 ティーショップの霧深く―公共圏から見たアジア文化
第5章 ポピュラー文化が切り開く通路―「韓流」が見せたアジア的交流の可能性
終章 空高く、あるいはビル群の隙間からアジアの明日を見つめる
著者等紹介
土佐昌樹[トサマサキ]
1958年愛知県生まれ。国士舘大学21世紀アジア学部教授。文化人類学専攻。韓国の宗教、大衆文化、ナショナリズムについてグローバルな視点から研究を進めている。大阪大学人間科学部大学院博士課程修了、同助手、釜山女子大学客員講師、ハーバード大学人類学科客員研究員、神田外語大学韓国語学科教授などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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影実
1
積読本。文化人類学者の視点から海賊版コンテンツを切り口に、アジアにおけるアメリカ文化などの受容や公共圏の成立について語った一冊。切り口は面白いし内容も興味深かったが、タイトルと裏腹にミャンマー、韓国、中国の一部くらいしか取り上げておらず、海賊版のマーケットなどについての話も少なく、ちょっとイメージしていた内容と違った。2022/03/09
Tomomi Hori
0
最近の出来事を受けてこの本のことを思い出す。エルメスの件はともかく(だって漢字表記しようとしなきゃよかったわけで。)、ジョーダンスポーツだっけ??中国での登録商標の問題。これぞアメリカ文化っのバスケの超スター選手のイメージがこうやって中国でのビジネスにもちろん許可なく用いられている現状。この先生はどう解説してくださるのだろうと思ったわけです。そして、もうひとつこの本について言えば、『さまよえる近代』とか『公共性の構造転換』とか、重要な文献を端的に紹介してくださっていること、本当にすごいです。
カネコ
0
○2010/04/25
GEO(ジオ)
0
タイトルはアジア海賊版文化だけど、海賊版に関する話はあまりない。海賊版の話というよりは、海賊版を含めた文化が、アジアでどのようにグローバル化していったのかを述べた本。2009/10/27
kogiku
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断片的な話が多かった(著者も最初に断ってるけど)もっといろいろ掘り下げてみてほしかったなあ。2009/02/22
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