内容説明
「なんでも手に入れたい世代」の女性達が、子供を産む時代になった。ファッション誌編集者として二十代を過ごし、渡仏した著者は、現地で結婚し、家族とともに欧米諸国を移り住む過程で、様々な国籍の同世代の女性達の「出産」「子育て」を取材する機会を得る。それぞれの文化の文脈に応じた子育てへの取り組み方は大きく異なっていた。しかし、途上国に比べれば何もかも手にしている先進国の高学歴・高収入の女性達が、こと育児となると、育児書や医者の一言に振り回され、落ち込んだり、優越感に浸ったり、旧来の母親像に振り回されたり、という激しい揺れの中で悩んだり葛藤したりする状況は変わらない。そんな各国の現代女性達の「欲張りな出産育児」はどこへ向かおうとしているのか―。
目次
プロローグ それは「おっぱい」から始まった
第1章 「授乳」という悩ましきお仕事(マダムはミルクがお好き?―フランソワーズ(フランス人・三〇代)
七年間ノンストップ稼働中―由利子(日本人・三〇代)
お姉さん世代の「おっぱいと政治」―サビーネ(ドイツ人・五〇代)
母乳育児という名のトラウマ―パウラ(スイス人・三〇代))
第2章 欲張り世代の子育てのゆくえ(「赤ちゃんはお風呂場で生まれた」―アンナ(オランダ人・四〇代)
メリー・ポピンズの国から―ミッシェル(アメリカ人・三〇代)
女と母の絶妙なバランス?―エヴァ(スウェーデン人・三〇代)
闘う女―キャロライン(アメリカ人・四〇代)
母性をふりかざすような女たちが、嫌いなのです―スーザン(オーストラリア人・四〇代)
授乳はストレッチ・リムジンの中で―モニカ(アメリカ人・四〇代))
エピローグ それぞれの子育て
著者等紹介
長坂道子[ナガサカミチコ]
1961年生まれ。京都大学文学部哲学科卒。ファッション誌『25ans(ヴァンサンカン)』の編集をへて88年渡仏。フリーのジャーナリスト、エッセイストとして雑誌等に多数、記事を発表。ペンシルヴァニア、ロンドン、チューリッヒと移住し、現在ジュネーブ在住。欧米の衣食住、女性の生き方などを独自の視点で観察・表現している。在スイスNPO法人「ケアチーム・ジャパン」ジュネーブ支部長
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