内容説明
戦前の時刻表に当たっていると、現在とは違う鉄道の姿をそこに見出して驚かされることが多い。戦後生まれの著者は、これらの路線が現役で活躍していたころのことを知らない。時刻表を眺めたり、資料に当たったりしながら、当時の姿を思い浮かべるばかりである。本書は、そんな戦前の時刻表の頁をめくりながら、今では「幻」と化した路線の面影をたどる試みだ。読者に代わって筆者が時刻表のページを繰り、ときには乗客役に、ときには車掌役になって読者を「幻」の時刻表の世界に誘うつもりである。旅支度は特に要らない。読んでは目を閉じ、読んでは目を閉じするごとに、あなたの瞼の裏に、ありし日の路線、かつての日本の様子が立ち上ってくるだろう。
目次
第1章 幻の「東京発パリ行き」時刻表(昭和一二年一月;「富士」と「桜」 ほか)
第2章 本線‐支線「逆転」物語(本線と支線の区別がなかった;遠回りしていた東海道線 ほか)
第3章 消えた盲腸線をたどる(戦争と鉄道;有馬を一大温泉地へと発展させた路線 ほか)
第4章 「国鉄」になった私鉄たち(戦中に強制的に国有化;「強盗」と「ラッパ」 ほか)
第5章 日本の旧領土などを走っていた路線(沖縄にも電車があった;今こそ路面電車の復活を! ほか)
著者等紹介
曽田英夫[ソダヒデオ]
1948年京都市生まれ。関西学院大学経済学部卒業。鉄道運転運輸史研究家。鉄道史学会、交通権学会、日本保険学会会員
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