出版社内容情報
科学技術者(制御工学専攻)の立場から、仏教を学び実践することの大切さを訴え、仏教の著作も多い森政弘氏。本書は、著者が自ら体得し、体系化した仏教哲学の核心部分のみを「ノート」(覚書、注解)として著すものです。
著者の仏教思想は、光と影、陰と陽、無と有など、“この世のすべては、相反する二つのものがあって一つになっている”という合一の真理を示す「二元性一原論」に集約されます。「二元性一元論」の理論と実践が網羅的に説かれている既刊書籍『仏教新論』の姉妹本として、同書ではポイントを端的に説明しつつ、二元性一原論を支える「智慧」(=般若)の解説に特化した一冊です。
仏教を学ぶうえでの心構えから、科学的見地から仏教を考察する論理的な視点で、仏教が説く智慧の核心に迫ります。
『退歩を学べ』(2011年、6刷)、『仏教新論』(2013年、3刷)と併せて、著者晩年の“仏教哲学三部作”の完結作品。
内容説明
「ロボコン」の創始者が現代に放つメッセージ。科学者が捉えた仏教思想の真髄がいま明かされる―。
目次
第1章 仏教での言葉の立場(仏教では「一つ」が重要;水俣での実例;中学ロボコンでの実例)
第2章 言葉の本質と限界(言葉を使わないで実体を見抜く例三つ;言葉の弱点を知って知性から飛び出す;離言真如と依言真如;第一義諦と世俗諦;般若と識;般若波羅蜜;讃般若波羅蜜偈;『金剛経』の論理;理解と理会、表現の矛盾と理会の矛盾)
第3章 「二元性一原論」とは(「二元性一原論」という言葉の起り;論理の構造からの命名;「元」と「原」との違い、仏性;「原」についてまとめ)
第4章 大事な仏教教義いくつか(悪を善に転じる「三性の理」;「遊」に関して;物と人間;「一つ」に捕らわれると、「一つ」でなくなる;おわりに、真正成壊)