出版社内容情報
真言宗の開祖、弘法大師空海(774-835)の生涯と思想を紹介しながら、その生き方や考え方が現代に生きる私たちにどのような示唆を与えてくれるのかを解明する。「いかにして仏教を人生に活かすか」を探究してきた著者の研究・思索の集大成。
内容説明
現在を“しっかりと楽しく”生きる―そんなあなたに、空海はいまも生きている。
目次
第1章 密教とは何か?
第2章 風来坊の空海
第3章 唐に渡った空海
第4章 帰って来た空海
第5章 空海のライヴァル
第6章 空海と高野山と東寺
第7章 世間と出世間で大活躍
第8章 いまも生きる空海
著者等紹介
ひろさちや[ヒロサチヤ]
1936年(昭和11年)、大阪市に生まれる。東京大学文学部印度哲学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程修了。1965年から二十年間、気象大学校教授をつとめる。退職後、仏教をはじめとする宗教の解説書から、仏教的な生き方を綴るエッセイまで幅広く執筆するとともに、全国各地で講演活動を行っている。厖大かつ多様で難解な仏教の教えを、逆説やユーモアを駆使して表現される筆致や語り口は、年齢・性別を超えて好評を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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大河原 想
1
日本史における密教の遍歴を大まかに辿れる。最澄との対比で空海の人物が描かれているが、この二人はアリストテレスとプラトンに似ていると感じた。前者の顕教は言葉や教義を重んじるが、後者の密教は直観や感覚を大切にする。前者の弟子には、法然、親鸞、道元、日蓮、一遍と日本仏教の一大潮流が続くが、後者は本尊からして和歌山県にあり、その名の通り秘密めいている。だが著者は空海を難解な思想家とは認めず、飄然とした天才でありながらも庶民に直接仏の教えを伝える人物だったとしている。空海は言語に卓越しながら、言語を信頼しなかった。2022/08/07