内容説明
もはや、近代が行き詰まり、ポストモダン言説もすでに消費され切ってしまった。現代人の宗教性や宗教心の傾向は、「無地域化」「道具化」「個人化」などの特徴が顕著となってきている。このような状況において、我々は親鸞から何を学べるのか。
目次
第1章 浄土仏教とは何か(念仏という宗教的実践;大乗仏教における救済と阿弥陀仏 ほか)
第2章 親鸞の原風景(不明部分の多い親鸞の生涯;一念と多念 ほか)
第3章 親鸞思想の特性(三願転入と隠顕;二双四重判と真仮偽判 ほか)
第4章 はからいなき地平へ(究竟の他力仏教;義なきを義とする ほか)
著者等紹介
釈徹宗[シャクテッシュウ]
1961年(昭和36年)、大阪府に生まれる。龍谷大学大学院文学研究科真宗学専攻博士課程修了、大阪府立大学大学院人間文化学研究科比較文化専攻博士課程修了。博士(学術・大阪府立大学)。専攻は宗教学・比較宗教思想・人間学。龍谷大学非常勤講師、兵庫大学生涯福祉学部教授を経て、相愛大学人文学部教授。浄土真宗本願寺派如来寺住職。NPO法人リライフ代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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晩鳥
2
浄土仏教とは何か、親鸞の生涯、親鸞の思想の特性などについて書かれている。親鸞は偉大な宗教家であるが、他力思想に帰依しながらも「私だけは救われまい」と絶望する「救いと絶望の同居」という矛盾を抱え続けた姿は、親鸞も一人の人間であったと感じた。親鸞の思想部分は難しかったが、浄土教とは何か?という話は分かりやすかった。2022/02/19
聲
1
「中級者への第一歩」というコンセプトだけあって、親鸞の勉強をひととおりしていないとほとんど読めないと思う。それだけに、読み応えがあって、と同時に読みやすくて、ふむふむと言いながら読んでいた。適度に知的刺激がある。著者の語りの巧みさには毎回感心する。2023/06/04