内容説明
花はさく。花はちる。それをまって、まって、おしんで…。“まち”にあって、人に、小さないきものたちにあいされてきた、さくらのおはなし。
著者等紹介
小林豊[コバヤシユタカ]
1946年、東京・深川生まれ。日本画家。渡欧中に画家を志す。1970年代初めから80年代初めにかけて、中東・アジアをたびたび訪れる。その折の経験が、作品制作の大きなテーマとなっている。作品に『せかいいちうつくしいぼくの村』(ポプラ社/第43回産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kawai Hideki
56
ちょっと思い込みの激しい感じの詩と、昭和レトロな町並みと人々の生活感がじわじわくる、桜の絵本。いきなり、「さくらは、"まち"のにおいがすきだ」で始まる文章。工場の煙突からのぼる煙と、建設中の高層ビル。桜の広場には紙芝居屋やちんどん屋や、馬が引く荷車が行き交う。日が落ちた後、にわかに雷が桜の木を打ち、花を散らし、馬が駆けるシーンが印象的。2017/03/24
はる
55
詩的な文章と、郷愁を誘う、懐かしい風景。大人向けですね。詩を読むように、何度も言葉の意味を考えながら、じっくりと読みました。「ほら、もう 春が」。まるで夢のような、古い記憶のような。2023/03/07
ぶんこ
39
ちょうど朝の花見散歩に行った日に読みました。隅田川べりには桜の花がたくさんあって、毎年楽しませてくれますが、今年は思いがけない寒さが続き、今日現在も満開ではなかったです。なんと、その隅田川の暗い見開きの絵があって、この景色は中央大橋がかかっているので1994年以降ですが、その他の絵には馬がいて、なんとものどか。小林さんは深川生まれ!昭和30年代には深川でも馬がいたのでしょうか?馬と人とが一緒にお花見できるのは素晴らしい。2025/04/05
たーちゃん
24
桜を楽しめる時間は本当に短いけれど、短いからこそより美しく感じるのかもしれません。また来年の桜が楽しみです。2022/04/19
ヒラP@ehon.gohon
22
昭和21年、東京の深川生まれの小林豊さんの原風景のような作品です。 時代は昭和でも30年代でしょうか。 チャンバラごっこや、紙芝居や、昔懐かしい風景があります。 都会の風景と、土の匂いと、覆い隠すような満開の桜があります。 今では見られない乳母車や、馬まで見えます。 そんな春の風景の向こうに、ビルが建ち始めています。 戦後復興期、東京タワーらしい物が描かれているのは、高度成長期を目指す日本の息吹でしょうか。 そんな、時代の流れを桜とともに味わうような絵本です。 桜を愛でる気持ちは変わりません。 2023/03/17