出版社内容情報
物故作家の名作を現代に通じるテーマでくくり、再編成するシリーズの第一弾。『放浪記』や『下町』の原作などを収録した名作選。
内容説明
行商人の子として九州各地を転々としてきた著者が、母と養父とともに広島県の尾道に辿りつき、そこで暮らし始めたときの体験を綴った処女短編「風琴と魚の町」をはじめとする初期短編五編、戦後の代表作「晩菊」、戦争にうちのめされた市井の人々の姿を描いた短編四編、ベストセラー『放浪記』の原型ともいわれる詩十編を収録。
目次
1 小説選(風琴と魚の町;清貧の書;人生賦;耳輪のついた馬;葡萄の岸;盲目の詩;晩菊;牛肉;骨;下町)
2 詩選(蒼馬を見たり;苦しい唄;酔醒;乗り出した船だけど;はたちのころ;花;道;遺書;磯辺の蟹;新聞紙)
著者等紹介
林芙美子[ハヤシフミコ]
明治36年12月31日~昭和26年6月28日。小説家。山口県生まれ。母が内縁の夫と共に九州各地を行商したため、小学校を何度も転校する。苦学して大正11年尾道高女を卒業。上京し、銭湯の下足番、工員、女給など職業を転々としながら詩や童話を書く。昭和5年自分の半生の最低生活を抒情的に綴った『放浪記』がベストセラーとなる。その後、人気作家となるも、過労がたたり、多くの連載を抱えたまま、昭和26年急死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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活字スキー
11
明治生まれの作家、林芙美子さんの『放浪記』はいつか読んでみたいと思っていたので、その前にちょいと短編集でも試してみよう……などと軽い気持ちで読み始めたら想像以上に容赦なくヘビィだった。初期作には極貧生活の中にもある種の清々しさが感じられなくもないが、戦後の混乱期を生き抜くというか死に損なったという方が似つかわしいようなこんちくしょうぶりに圧倒され、とにかく読んでいて疲れた。2016/10/23
スイ
6
林芙美子、初読みだったんだけど、こんなに面白いの?! びっくりした。 前半の暴力的なくらい生々しい文章も、後半の整った物語もどちらも揺さぶられる。 一つ一つの言葉選びも凄まじい。 様々な作品が収められているので、入口としてとても良かった。 ただ、作品集のタイトルには違和感を覚える…。 作品の中で書かれているのは「神様コンチクショウ」で、このタイトルの言葉はないはず(収録作以外で言っているのかも知れないけど…少し調べた限りでは見当たらなかった)。 インパクトあるタイトルで惹きつけたいのもわかるのだけど、2018/09/25
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