内容説明
全く芽が出ない自称小説家の青年、蔦市伊織は、祖母から家屋と小さな土鈴、そしてある能力を引き継いだ。それは、人ならざるモノ―物の怪が視える力。ある日、幼馴染の可憐な美少女・小春から学校で噂の怪奇現象について打ち明けられる。女学校の美術室に巣くう『蜘蛛の神様』が、「代償」と引き替えに少女達の変身願望を叶えてくれるという。探偵よろしく事件解明をもくろむ小春に押し切られた伊織は、しぶしぶ真相解明に乗り出すが…(薔薇学校異聞)。伊織の『視えないモノが視える力』が呼び寄せる、不可思議な事件全3編を収録。帝都東夾にひしめく物の怪と、人とが織りなす幻想奇譚!
著者等紹介
紅原香[ベニハラカオル]
宮崎県出身。PC・コンシューマーゲームのシナリオライターを経て、作家の道へ。『東夾怪奇案内―自称小説家蔦市伊織の事件簿』が一般書籍デビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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瀧ながれ
15
あんまり目新しくはなかったけど、雰囲気の異なる怪現象が三編収録されていて、おもしろかった。主人公の「自称小説家」は、小説家志望を諦めるか目指すジャンルを変えるか、早めに方向転換を図ったほうがいいと思います。警務官の千秋兄さんがかっこいいので、もちょっと活躍してくれたらいいのに(笑)。2014/11/14
のいじぃ
9
読了。実在する地名と似て非なる國で起こる妖と人の物語。自尊心が高くそれでいてお人好しの主人公、好奇心が旺盛過ぎる親友の妹、何かと都合の良い親友と妖達、漫画かアニメの設定を眺めているようでした。物語も最初は丁寧ですが、他の二編はとりあえず用意したかのような雑さを感じます。「素寒貧」などの時代に沿った言葉に感心することもありましたが、それ以上に「示しがつかない」「分がある」「比ぶべくもない」などの誤用もちらほら目につきました。雰囲気は悪くはないもののキャラの表面ばかりで、筆力不足がもったいないと思わせる一冊。2014/10/30
岡本匠
7
主人公は自称小説家なんだけれど、もう少し才能を持してあげると、小説として痛快感があったのでは?と感じてしまいました。2016/01/16
紅羽
7
弐本という国の東夾を舞台にしたパラレルワールドのような世界ですが、殆ど地名等の読み方が違うだけで違和感も無く溶け込めました。小説家を目指す伊織と天狐のやり取りが中々不毛な感じで楽しいです。妖怪が関わる怪異が三本で、1話完結のドラマを見ているようで楽しかったです。2014/10/25
しぇん
7
弐本や恵戸時代など地名と時代名を全部変えた日本そっくりな国を舞台に、小説家デビューを夢見るニートで怪異をミル力持ちな主人公と幼馴染の好奇心旺盛で探偵に憧れる女学生の小春が怪異絡みの事件に挑む三本の短編連作ですね。主人公は引きこもり気質なので小春に引きずられて事件に巻き込まれる形式になっています。面白さはまぁ普通でした。そこまで派手な物語も良い話も無いけど悪くもないような。一応、物語は続けられそうですがどうなんでしょうね?出たら買うかもしれません。2014/10/19