内容説明
上州渋川村の百姓として育った茂平。北町奉行所同心・神岡冬右衛門の養嗣子となり、お役目を世襲して、武士としての月日が流れていた。だが、草木が萌え出る初夏になると血が騒ぐのだ。百姓の血が…。いやで逃げ出した田植えが気になり、かつて暮らした向島・小梅村へと足を向けた。剣の修業時代に知り合い、憎からず思っている百姓の娘・トキの田植え姿を見るためだった。しかし、小梅村で思わぬことに茂平は巻き込まれた。偏屈者と呼ばれるひとり暮らしの百姓が脇腹を刺され、住居が物色されていたのだ。だが男は、意外な申し出をしてくる…。書下ろし長篇人情時代小説。
著者等紹介
笠岡治次[カサオカハルジ]
愛知県生まれ。大学卒業後、歴史関連の編集者を続けながら、時代漫画、映像作品のシナリオ、演劇脚本などを執筆。架空戦記で作家デビューを飾り、以後の作品は、ミステリー、ホラーと幅広く書き分け、長篇時代小説を上梓。江戸情緒溢れる人情時代小説が好評を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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蕭白
4
読み心地の良いシリーズです。読後に表紙絵を見ると感慨深いものがあります。2017/03/20
M2
1
「つくば」の話がすごくよかった。一緒に悩んでくれる成尾、穂坂はじめ義父冬右衛門、辰蔵親分、先輩の倉林、つくづく茂平はいい人たちに囲まれてると思う。「珍客」の道場のみんなで夕餉の膳を囲む場面も好き。新キャラの銀次郎はこれからも茂平と対立する形で出てくるのだろうけど、それにしてはいまひとつな感じ。生粋の悪人としての凄みもなければ憎めない小物の可愛さもないのが残念。2016/04/11
すぴか
1
第五弾。銀次郎をやりこめて三六郎を助けるところはスカッとしました。でも銀次郎の妙な腹立たしさは何ともいえないですね。2013/02/27