内容説明
九州杵築藩普請役の三男に生まれた清伍は蘭学を学ぼうと大坂へ出、その後江戸へ流れた。そこで仕官の誘いを断り浮浪していた甲吉と出会いふたりは開港間もない横浜を目指す。写真術を学んだ清伍は、甲吉を誘い『仁見堂』という写場を構える。ある日、本牧の風景写真を現像すると切断された片腕が小さく写っていた。ふたりはすぐに現場に戻ってみたが、すでに片腕は消えていた―。甲吉に想いを寄せる留守番役の娘・おきぬ、神奈川奉行同心・江上一馬などが清伍とともに、事件の謎を追う。
著者等紹介
乾荘次郎[イヌイソウジロウ]
1948年徳島市生まれ。1970年早稲田大学第一文学部中退。フリーライター、映画評論、農業をテーマにしたルポルタージュなどの仕事のかたわら、小説誌に作品を発表。1998年に第6回松本清張賞で最終選考に残り、高い評価を受ける。「孤愁の鬼」で時代作家としてデビュー
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