内容説明
京都に本店を構える準大手のデパート・大鞍百貨店の社長・大鞍市兵衛が病死し、後任社長に関西財界の重鎮・北沢恭次郎が就任する。だが、社内には派閥抗争と取引業者との癒着に絡む労働組合の独善が横行しており、人事・総務担当常務の吹田、労組委員長の堀端、書記長の瓦崎は、“悪のトライアングル”と呼ばれていた。売場係長に昇格した田口は、そうした煽りを食って突如、配送会社の社員研修所に左遷され、砂を噛むような日々を送ることになる。厳しい不況下にあっても、私腹を肥やし企業を蝕む、卑劣な男どもに鉄槌を下す、渡辺一雄の懲悪ロマン。
著者等紹介
渡辺一雄[ワタナベカズオ]
1928年、京都生まれ。大阪商科大学(現大阪市立大学)卒業後、大丸百貨店に入社。76年にデパートの内幕を描いた「野望の椅子」でデビューし、日本作家クラブ賞を受賞。2年後、「出社に及ばず」を発表したのち、部長→課長→主任という降格人事を経験し、80年に退社する
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