内容説明
鎌倉で起きた女子大生誘拐事件。それに続く江ノ島の殺人劇―。漱石の名作「虞美人草」を素材にした不可解な暗号小説を遺してタロット日美子の友人・梶川由良子が殺された。旧友とともに死体を発見した日美子は彼女の遺作からダイイング・メッセージを読み取ろうと調べを進める。謎の言葉をキーワードにした二重構造の暗号が指し示す意外な犯人像と真相は―。著者が得意とする暗号ミステリーの傑作。
著者等紹介
斎藤栄[サイトウサカエ]
1933年東京都生まれ。東大法学部卒業。66年横浜市建設局在勤中、『殺人の棋譜』で第12回江戸川乱歩賞を受賞。72年作家専業に。本格ミステリー、旅情ミステリーの第一人者
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感想・レビュー
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猫丸
15
なんらかの意味で漱石に関連するものは一応読んでみる自分ルールに従い辿り着いた作品。ジャンルはミステリ、サブジャンルとしては暗号モノである。1993年、学習研究社刊行が初出だそうで著者斎藤栄氏御年六十歳時発表。ミステリ苦手な僕にとっては(たぶん)初めての作家さんではあるが、作品歴を見ればかなりの多作だ。このジャンルでは大家なのではと思われる。前後半二つに分かれ、前半は作中作、後半がメインストーリーという凝った作りである。「虞美人草」本文が前半の謎解きのキイであり、漱石作品の意外な特徴を照射している。2020/04/22
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- 和書
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