内容説明
名前を変え、愛しい妻・琴音とも別居し、新選組に入隊した山崎烝。棒術の使い手でもあった男が与えられた役目は密偵であった。冷静に彼らの情報を探る立場を通し、歴史の大勢への、如何ともしがたい山崎の煩悶と、新選組の実質的統率者・土方歳三に向けた厳しい批判の目。だが、そんな山崎も、いつしか密偵という仮面が、自分の一部となっていく…。謎多き男の生涯を描く歴史小説。
著者等紹介
島津隆子［シマズタカコ］
１９３２年、山梨県生まれ。著書に、『春日局の生涯』『乱に咲く・日野富子』『遺跡と人物』など
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感想・レビュー
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さつき
44
司馬塾BCにてご紹介を受け読みました。『新選組血風録』にちょこちょこ出て来て気になっていた山崎烝が主人公です。彼が主役の作品は珍しいのでしょうね。密偵として垣間見る歴史の裏側にドキドキしつつ、自分は新選組の医者だ！という強烈な自負にも感心しました。現代の衛生観念ではあり得ないほど劣悪な環境だったんでしょうね。直接、人の身体に触れる医者の目線でみると、また違う物語が生まれますね。2017/02/23
り こ む ん
35
新撰組の山崎の本を探し求めに求め。たどり着くのはこの一冊。密偵だけに？やっぱり、主人公にするには難しいのか？地味なのか？島田、篠原には日記があったり生き延びてたり…吉村に関しては、浅田さんの壬生義士伝がある中、山崎本は無いのが残念無念。興味深い逸話有るのになぁ～と思うのだけど…密偵に苦悩し副長に意見をする姿は、新鮮だった。上司が斉藤ってところも、なるほどなぁ～と。密偵は土方の直属設定が目立つなか、斉藤を間に入れているのが面白い。個人的には…秋山さんの描く山崎が好きなのだけど、この本山崎の姿のが人らしい。2016/12/11
ポチ
24
密偵に山崎烝と言う人が居たのは知っていましたがそれだけでした。アニメの銀魂で見た山崎さんは中々曲者でちょっと情け無いが好きなキャラです‼︎そのイメージで読み始めたのですが、真面目で頭が切れ、悩みながらも任務を遂行する骨太な人に描かれている様に感じました。全体的に淡々と進み、最期もあっさりしていたので、もう少し欲しかったなぁ。だけど、読めて良かったと思える本です。2016/03/11
小雀✡ずーっと積読減強化月……
8
探索能力、観察眼を買われて新選組の密偵となり、医学の道に明るいからと拷問に立ち合わされ、検死までさせられて…何を考えてるか分からない土方ｻﾝに、こき使われて…気の毒な様だったけど、やっぱり土方ｻﾝは全部分かってて信頼してたのだなぁ…と涙しました。 山崎烝を主人公にすると、主要人物の殆どが名前しか出て来ないのですね(笑) 烝の死…までしか話が無いのは仕方ないとは思いますが、もう少し脚色や後日談的なモノがあっても良かった気がします。全体的に物語(小説)と言うより、「山崎烝の記録」的な感じが濃厚なのが残念。2013/12/26
りか
6
読了までにかかった時間、約半年(笑)私には少し読みづらい文体と内容でした。でも、医者と密偵の間で揺れ動く烝の心がすごく人間らしくて、いい。個人的には物足りないけど、淡々とした描き方が却って、この人は壮絶な時間を生きたのだ、と強調している感じがした。2014/01/25
