内容説明
広告業界の第一人者が東急線沿線で配られているフリーペーパー「SALUS」で連載していた人気エッセイ「大人の迷子たち」の書籍化。犬のこと、季節のこと、同窓会、道草、父、そして母のこと…。この国のゴールデンタイムを見続けた著者が贈る、何度でも読み返したくなる珠玉のエッセイ集。
目次
家から、湯気が消えようとしている。
同窓会のあと、同級生のことが、少し好きになっていた。
犬は鳴く。犬は泣かない。
4月には、生涯取り戻せない忘れ物がある。
夜があかるくなって、見えなくなったもの。
最後の言葉は、さようならではなく、ごちそうさまだった。
季節は、はにかみながらやって来る。
スイカ1個を、食べきれる家族がいた幸福。
孤独がくれた想像の翼。
子どもは、悲しみを食べて成長する。〔ほか〕
著者等紹介
岩崎俊一[イワサキシュンイチ]
コピーライター、クリエイティブディレクター。1947年京都市生まれ。70年同志社大学文学部文化学科心理学専攻卒業。レマン、マドラなどを経て79年岩崎俊一事務所を設立。TCC賞、ACC賞、ギャラクシー賞大賞、読売広告賞、朝日広告賞、毎日デザイン広告賞、日経広告賞、カンヌライオンズほかを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
40
まさに、言葉の芳醇さを実感できる1冊。やさしい、決して、難しくない言葉で綴られている文章なのだが、こころの沁み込んでくる。コピーライターということで、岩崎俊一さんにたどり着き、この本に出合った。全編が、ステートメントのようでもある。2021/11/13
tapioka
21
コピーライターの岩崎さんが書いたエッセイ集。身の回りのことを中心に描いているのですが、日頃から言葉を扱う仕事をされているため、文章は素直で読みやすいです。さらに、静かでほんのり温かみを感じ、ストレートに読み手の心に響いてきます。また、物がなくお金もなく、貧しいけれど心は豊かだった昭和を生き抜いた経験と視点から、今の世の中に対する想いを述べていますが、昔は良かったという物言いではなく、今と昔の違いを優しく諭してくれています。岩崎さんが作られたコピーが気になりますね。読み手の心に響く、非常に良い作品でした。2017/03/02
あずき
12
「年賀状は、贈り物だと思う」「やがて、いのちに変わるもの」等のコピーを生み出した岩崎俊一さんのエッセイ集。私の中でエッセイとは小説を読む合間の気楽に読み流すものだったのですが、岩崎さんのエッセイは読みながら色んな感情が交差します。溜息をつき、目頭が熱くなり、懐かしさに微笑みやがて、無理をしなくてもいいくらいの、程良い元気を与えてくれます。「ローンは終わったが、人生の借りは、返していないかも知れない」「スイカ1個を食べきれる家族がいた幸福」など 49話。繰り返して読みたい。2017/04/15
miso_katsu
6
「人は、自分の人生に、自分以外の体温を求めている。」こういうあたたかいコピーを書けるようになりたいのです。 2018/01/14
ゆめやす
6
コピーライターの方だと知らずに読み始めたけど、出てくるコピーは聞いたことのあるものがたくさんあります。 世代がずれているので判らない部分もあったけど、古き良き時代の話が沢山あり、人との繋がりが濃かった時代の魅力があります。 2016/03/25