内容説明
熊のようになってほしくて、男が犬につけた名前は「クマ」。「知らない人が来たら、ほえて追い返すように」でもクマは、だれが来ても、うれしそうにしっぽをふるばかり。男はイライラしながら、カーテンのかげにかくれて、そんなクマのようすを見ていました―こころがほんわりあたたかくなる、北欧の人気絵本。
著者等紹介
ラウリッセン,イルマ[ラウリッセン,イルマ][Lauridsen,Irma]
1948年、デンマークのソネボーに生まれる。1985年に新聞紙上で人生相談を始め、現在は8紙で担当。1988年、『田舎の空気の中の梟』を本国で出版、これを題にして現在も多数講演している。1997~98年、デンマークの国営放送でトークショーを担当。2000年、『KAERE FREMMDE(邦題:結婚したら、もう恋はできないの?)』を本国で出版。ベストセラーとなり、絶大な反響を得る
アールボム,イェンス[アールボム,イェンス][Ahlbom,Jens]
イラストレーター。スウェーデン在住
中田和子[ナカタカズコ]
1966年、慶応大学文学部独文科卒業。1967年、旧西独ハンブルグ大学、英国ロンドン大学留学。インド、ケニア、デンマーク、日本の組織、企業で勤務後、1992年独立、翻訳・通訳会社WACOMM Translations設立。現在日本とデンマーク両方に拠点をもち活動中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
138
心に何が起きたのか。過去に何があったのか、塞ぎ込む男。自分を守るために飼ったクマは私を見つめる。早く大きくなってほしいのに、思うようにいかない。愛嬌のあるクマが庭に出て、皆の人気者になる。私は誰とも会いたくないのに、皆が庭に近づいてくる。いい加減にしてくれ。…孤独は楽しくもあり絶望でもある。一度感じた優しさに、なぜか男の調子が狂う。寂しいではないか。…塞ぐ男の空気を察して近づけなかった優しさが、素直になった男には集まる。クマが教えてくれた幸せを感じた男。膝の上で眠っているクマに微笑む男。人生を見つめ直す。2021/06/27
詩 音像(utaotozo)
19
「クマ」は子犬の名前。人嫌いの気難しい男が人を追い払うために買い始めた犬。だが当てが外れて、人懐っこい犬に人々が寄ってきて「クマ」は近所の人気者に。男は「クマ」を捨ててしまう…その後の展開も、想定を大きく外れるものではないが、絵の美しさ、表情の良さ、細部の書き込み、水彩画独特の表現等、繰り返し何度も見入ってしまう。そしてまた泣くw2020/11/26
みさどん
12
このちっちゃい犬がクマ。どこの世にもつきあい嫌いって人はいるもので、そんな人は温かいものにふれてきていないのだろう。小さなクマが世間と飼い主とをつないでくれるという想像通りのお話。子どもには、こんな大人っているけれど中身はそういうことかと、気づかせられるかな。偏屈おじさんやしかめっ面おばさんも軟化できるかもしれないと思わせられる。穏やかでお客さんにはいつもご機嫌なところが、友達のうちの犬そっくり。2015/09/19
遠い日
11
人嫌いの男に飼われたかわいいクマ。クマなどと名づけられはしたが、小さな愛嬌よしの犬だ。番犬にしたかった男の期待を裏切って、道ゆく人に愛想を振りまき人気者になる。そんなクマを疎んじる男の身勝手さ。幸せがどんな形でそこに在ったのかを、自ら放棄してから気づいた男。自分勝手な男にさえ懐くクマのいじらしさが光るラストが秀逸。2015/04/27
あちこ
1
わたし用に借りた本。よくぞ戻ってきた。クマはみんなを幸せにしたね。2014/01/24