内容説明
イマジネーションが現実を支配するワンダーランドの奇跡―。デビュー作「桃子」、初期代表作『きらきらひかる』、直木賞受賞作『号泣する準備はできていた』、長編傑作『抱擁、あるいはライスには塩を』など、江國作品の魅力に迫る。
目次
父と娘―「桃子」「草之丞の話」「409ラドクリフ」
女流作家の宿命―『きらきらひかる』
「ごっこ」の世界に生きる母と娘―『神様のボート』
婚姻という理不尽な罠―『赤い長靴』
甘美きわまる危険な崩落―『ウエハースの椅子』
帽子と、きゅうりと、数字の「2」の成長物語―『ホテルカクタス』
現場に戻らない犯罪者―『号泣する準備はできていた』
享楽主義をモットーとする家訓の邪な蠱惑―『思いわずらうことなく愉しく生きよ』
荒野を行く高貴な兄弟―『間宮兄弟』
「HAPPY FEW」の甘美な戒律―『がらくた』
不倫という逸脱の肯定―『真昼なのに昏い部屋』
凋落のシンボルに変容した合い言葉―『抱擁、あるいはライスには塩を』
著者等紹介
福田和也[フクダカズヤ]
1960年、東京生まれ。文芸評論家。慶應義塾大学環境情報学部教授。現在の日本の文壇、論壇、アカデミズムで広範な活躍を見せる。93年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、2002年『地ひらく』で山本七平賞、06年『悪女の美食術』で講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あんり
7
著者の批評というより、抜出されている江國さんの色々な作品を読んだ2024/09/11
みみみんみみすてぃ
6
★四つ。やっと読みました!!新品を買ってからやく2年が経ってました笑 なのに3時間で読んでしまいました……これは評論というよりほとんど江國香織の紹介ですね。しかし、彼女のファンなら、いや、彼女の長いファンでいたい僕にとっては、非常に江國香織をまた再読したい、それも猛烈に、彼女をずっと追いかけていきたいという野心を取り戻させてくれました。そんな個人的な理由でよかった。 未読作品を江國さんの文章の雰囲気を壊さないように紹介してくれたのがすごくよかった。2016/02/06
じろ
3
★★★ 福田さんがべた褒めとは…江國さん大好きだから、この人が鋭く批判するのも見てみたいと思ったんだけど。特に最近の作品について。しかし最近の作品をべた褒めとはな… しかしガラクタ嫌いだったけどまた読みたくなったので読みます。ライスには塩をは私も好きですけどねー 流しの下の骨について書いて欲しかったですねー大好きなんで…2019/06/30
ひろゆき
3
そもそも江國香織のどこがいいのか私に知らしめる、するどい分析を期待したのだが、曖昧模糊のままと。ほぼ引用だけの章もあり。なのに賛辞。どういう事情か知らないが、おべっか、としか。 2018/05/18
iaraumi
1
江國香織が書いてきた話の、引用とコメントがされている本。書かれている話は大体読んだことがあったので、懐かしくなった。そして、お酒を飲むことについてポジティブなイメージがあるのは、彼女が描くお酒がとても綺麗で素敵な描写だからなことに影響を受けてきたからだ、ということを思い出してしまった。若い時にはまった本から受ける影響の大きさはすごい。その時々の気持ちに誠実に生きることにあこがれがあるのも同じ理由。なかなかできないけれどね。「勇敢な恋人たち」という描写をどこかでしていたのがすごく残っている。2018/12/09