内容説明
乗り物の側から見た移動でなく、人の側から、人と環境に配慮した移動。今、富山ではこうした考え方にもとづく、公共交通を軸にしたまちづくりが着々と進められている。日本列島の一地方に過ぎないこの地で、世界的な潮流となっている先進的公共交通政策がなぜ、どのように可能になっているのか。本書は、地元富山の行政機関や多数の交通関係者に取材し、その秘密を解き明かす。富山の試みは、果たして例外なのだろうか。
目次
第1章 富山は豊かである
第2章 昭和の改革者・佐伯宗義
第3章 なぜ富山は改革に乗り出したのか?
第4章 万葉線が奏でた序曲
第5章 奇跡のライトレール
第6章 高山本線で行こう
第7章 セントラムで都心を元気に
第8章 アヴィレという名の公共自転車
第9章 アルペンルートを貫光せよ
第10章 北陸新幹線開業を見据えて
著者等紹介
森口将之[モリグチマサユキ]
モビリティジャーナリスト・モータージャーナリスト。株式会社モビリシティ代表取締役。1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、出版社編集部を経て、1993年に独立。国内外の交通事情を精力的に取材・視察し、地球環境や高齢化社会等、問題が山積した現代社会における理想のモビリティの探究・提案を続けている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日仏メディア交流協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KOH
5
現在日本は鉄道先進国であるが、地方都市では公共交通の衰退が顕著である。本書でも触れられている通り、地方の公共交通は単体での採算は難しく、整備維持に公費の投入が必要だが、市民の理解を得にくいのが現状だ。自動車保有者しか直接的な恩恵を受けられない道路整備への公費投入にはさほど反対意見が出ないのに甚だ疑問である。だが富山県は行政側が公共交通の重要性を理解し、市民に説明を続けることで市民の理解も得た。これは賞賛に値する。北陸新幹線の開業は追い風となろう。この追い風に乗って羽ばたけるか、次の一手に注目したい。2015/05/08
Teo
4
いわばリアルA列車で行こう。極めて簡単に言ってしまうとそう言う事なのだが、それを実際にやるのは大変な事だ。富山は人と意志と環境に恵まれたから出来たのではなかろうか。読んでいてそんな感じを受ける。しかし高齢化と人口減少を迎えて今後の日本の公共交通、そして市街形成の一つのモデルとなろう。2012/02/13
がんこ
3
中心市街地をなぜ活性化させるかが明確でそのために今ある公共交通を活用し、成功を収めつつある森市長の手腕とビジョンの明確さに感服。さらに大きな変化が起こりそうな県内公共交通の今後に注目したい。2012/02/02
しろみずあかね
2
昨今話題の富山市を中心とした交通政策だけでなく、富山の歴史を踏まえ、その上でLRTの話題性だけに終始せず、交通政策を見渡せるようによくまとまった一冊。「串団子」というネーミングセンス、大好きです。
ぎりのすけ
2
地域交通の現状を捉えることができ、将来の方向性について一つの方向性を指し示してくれる一冊。地域のモビリティを活かすのは、そこに住んでいる人次第。モータージャーナリストの方が、この本を書いてくれてことも、ある意味、光明かも。★★★★2012/04/18