内容説明
旧ソ連体制下で隠蔽された核事故―1957年、旧ソ連南ウラル地方で放射性廃棄物貯蔵所が爆発した。『ルイセンコの興亡』を米国で出版したことにより精神病院に収容され、その後ソ連国籍を剥奪された著者は、英国滞在中に検閲済みのソ連当局の資料を解読し、この事故を1976年に「ウラルの核惨事」として公表した。ソ連をはじめ、米・英も事故を否定。ようやく、チェルノブイリ事故後の1989年になって事故を認めた―。福島第一原発事故に関する論文のほか、新論稿を増補収録した決定版。
目次
センセーションの始まり
センセーションは続く
専門家でない人のための用語解説
ウラルの惨事
湖、水生植物、魚の放射能汚染
ウラルの汚染地帯における哺乳類
ウラルのチェリャビンスク州は放射能汚染地帯である 一九五七年の秋‐冬はウラルの大惨事の時期である
放射性生物群集における鳥類と様々な国への放射能の拡散
ウラルの放射能汚染ゾーンの土壌動物
ウラルの放射能汚染地帯の樹木
ウラルの放射性生物群集地帯における野生植物および植物放射線遺伝学の研究
ウラルの放射性生物群集における集団遺伝学の研究
ウラルの核惨事に関するアメリカ中央情報局(CIA)の文書の分析
ウラルの核惨事の原因。一九五七‐一九五八年の出来事を復元する試み
著者等紹介
メドヴェージェフ,ジョレス[メドヴェージェフ,ジョレス] [Медведев,Жорес]
1925年生まれ。生化学・加齢学・政治史研究家。1950年にモスクワのチミリャーゼフ農科大学在学中に、ルイセンコの横暴を目の当たりに体験。卒業後、同大学で放射性同位元素を用いた研究をする。1969年に『ルイセンコ学説の興亡』をアメリカで発刊したが、反ソ活動だとの理由でソ連最高会議幹部会決定によりオブニンスクの放射線医学研究所分子生物学研究室長を解任される。1973年英国出張中にソ連国籍を剥奪されるが、以後イギリスに滞在、1990年ソ連国籍回復
佐々木洋[ササキヨウ]
1942年静岡県生まれ。北海道大学大学院農学研究科修士課程修了。札幌学院大学名誉教授。専門はジョレス&ロイ・メドヴェージェフ研究
名越陽子[ナゴシヨウコ]
1953年東京生まれ。東京外国語大学ロシヤ語科卒、同大学院修士課程修了。ロシア国立プーシキン大学教師課程修了。翻訳業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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