内容説明
アーサー・ゴールデン『さゆり』では京都弁を見事に使いこなして訳出し、ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』を大ベストセラーに押し上げ、最近はポーやフィッツジェラルドの新訳にも果敢に挑戦する名翻訳者がこっそり教える「翻訳の秘密」。
目次
第1章 翻訳の手順
第2章 技術と道具
第3章 英語の中の日本
第4章 翻訳、映像、移動、その他
第5章 過去と現在
第6章 古典新訳練習帳
著者等紹介
小川高義[オガワタカヨシ]
1956年横浜生まれ。1974年、横浜平沼高校卒。1979年、東京大学文学部英文科卒。1982年、東京大学大学院修士課程修了。同年4月より横浜市立大学専任講師。1987年、同助教授。2008年4月より東京工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紡ぎ猫
16
読み友さんの感想を読んで入手。ユーモアも交えた小説翻訳家の裏話的読み物。とても腰の低い方だなという印象を受けたけど、翻訳を長くやっていると自然とそうなってくるんだろうなとは実感。翻訳者の末席に名を連ねさせていただいている者としては耳の痛い話も多く、特に「編集者へ原稿を手渡す際は答案を提出する学生の気分」というのはまさにその通り!いつもドキドキしながら送信ボタンを押している。プロによる上手い編集が入るとドーンと落ち込む。重箱の隅をつつくような読み込みが翻訳者には必要。2015/11/24
M1号
5
ジュンパ・ラヒリの作品を小川さん訳で読み、その翻訳に見とれ(?)てしまった。ユーモアあふれる語り口で、でも結構な低姿勢で、翻訳の秘密というよりは、翻訳愛を語られているような感じ。参考になるところもたくさんあったし、生意気ながら共感できるところも。サブタイトルにある、翻訳小説を「書く」という感覚と技術を、身に付けたいものです。この方に弟子入りできたら…夢だなあ。2017/07/30
いちの
2
前半は具体例を挙げて翻訳の「練習」をするような内容。落ちこぼれないように必死にしがみついて読みました。後半はこれまでの筆者の仕事の裏話など。読み物としても面白かったです。想像を膨らませて、それを文章にすること自体が翻訳といえること。フィクションは真剣に考えを巡らせた証拠であり、事実に基づくことばかりを善としがちだがそんなことはない、という話が印象に残りました。2014/01/22
ぺぺらって
2
『さゆり』の翻訳話と、ちょうど『桜庭一樹の読書日記』にでてきた、ジュンパ・ラヒリが出てきてにやりとした。2011/06/27
gkmond
2
英語をどう読むかという点で勉強になった。英文読解の本として非常に面白い。著者の訳書を読んでみようと思った。2010/02/02