出版社内容情報
★「文をつなぐ」接続現象の多様で豊穣な世界
「文をつなぐ」接続表現と構文の特性を、小説、新聞、映画の台詞等の生きたデータの丹念な観察と実証的な分析を通して明らかにする。話し手の心を映し出す接続表現や、情報の関連づけや橋渡しをする接続表現、聞き手の理解に負担をかけないための接続表現はもちろんのこと、「文をつながない」、すなわち発話を終結する表現をも取り上げた。英語話者の発想とものの捉え方を接続現象から解き明かす!
第1章 文をつなぐ
1.1文脈に解き放してつなぐ
1.2さまざまな形式でつなぐ:並置、等位接続、従属接続
1.3指示表現を選んでつなぐ:itとthatの選択
1.4共通要素をくくり出してつなぐ:“She bought X, Y, and Z.”と“She bought X, she bought Y, and she bought Z.”
1.5基本的な単語を組み合わせた表現でつなぐ:but then
1.6名詞句でつなぐ:There wasn’t a sound, a fact which ...
1.7コンマだけでつなぐ:You want to see him, you go.
1.8異なる形式で共通要素につなぐ:関係節と前置詞句の等位接続
1.9伝達部を引用の途中でつなぐ:“Dr Cooper,”the President began, “do sit down.”
1.10天候・明暗・時間などを表す文と形式主語構文を1つの主語itでつなぐ:It was drizzling rain and foggy and impossible to see very far.
第2章 文をつながない
2.1未完結のまま発話を終結する
2.2積極的に発話を終結する(1):That's that.とThat's it.
2.3積極的に発話を終結する(2):“Period. Full stop. End of story.”
2.4文をつなぐことを拒否する(1):名詞化される接続表現no ifs, ands or buts
2.5文をつなぐことを拒否する(2):相手を苛立たせる表現whatever
第3章 話し手の心を映し出して文をつなぐ
3.1確信の揺れを表現してつなぐ:{perhaps / maybe} not
3.2抵抗感を表現してつなぐ:I hate to say {it / this}, but ...
3.3へりくだった気持ちを表現してつなぐ(1):if I can put my two {cents / pennies} in
3.4へりくだった気持ちを表現してつなぐ(2):in my humble opinion
3.5相手の依頼や確認にひと呼吸おいてから承諾・承認表現につなぐ:why, {yes / sure}
3.6相手に許可を求めて補足的情報をつなぐ:let me add ...
3.7価値意識を反映してつなぐ:but
3.8前の事実から期待される結果に反する事実をつなぐ:and
3.9釈明をつなぐ:It is just (that)...
3.10情報価値のある内容を婉曲に伝えてつなぐ:for {what / whatever} it's worth
3.11真偽のほどは保証しないで伝聞情報をつなぐ:文修飾副詞allegedly
3.12論証可能な情報であることを認定してつなぐ:文修飾副詞arguably
3.13冷静かつ論理的に文をつなぐ:アメリカの宇宙ドラマ『スタートレック』のミスター・スポックの台詞に学ぶ
第4章 聞き手の理解に負担をかけずに文をつなぐ
4.1結束性と首尾一貫性を保ってなめらかにつなぐ
4.2相手の記憶に残したい情報を文末に置いてつなぐ:動詞(句)前置I have determine to go, and go I shall.
4.3情報を訂正してつなぐ:(or,) rather
4.4適切な情報に切り替えてつなぐ:(or,) better
4.5話の方向を本題から突然そらしてつなぐ:by the way
4.6話の方向を本題からそらさないことを装ってつなぐ:{I don't mean to / not to} change the subject
4.7他の理屈や事実に理解を示しつつ反論につなぐ:It is true (that) αbut β
4.8付言をつなぐ:for that matter
4.9常識や予想を打ち消してつなぐ:on the contrary
4.10相手の発話を補完してつなぐ
4.11命令文を連続してつなぐ:Run, Forrest! Run!
第5章 場面や文脈情報と関連づけて文をつなぐ
5.1場面や文脈情報と結びつけてつなぐ:I'm fine.
5.2静寂の「間」をことばにしてつなぐ:“A silence. ... Another silence.”
5.3突発的に知覚した状況を継起関係に基づいてつなぐ:“(the) next thing(,)”, “(the) next thing S + V(,)”
5.4話題を提示してつなぐ:as for
5.5主文が表す事態にそれが至り及ぶ状況をつなぐ:{till / until}節
5.6ステップの完了と開始をつなぐ:once節
5.7重要な情報の伝達を告げてつなぐ:文修飾副詞importantly
5.8文頭に独立する名詞句を伴う文をつなぐ:An avid reader, Hancox was largely self-educated.
5.9直前の発話内容を理由としてつなぐ:just because節
5.10内実や例外を追述してバランスよくつなぐ:{having said that / that said}
第6章 情報の橋渡しをして文をつなぐ
6.1過去と対比して現在の状況をつなぐ:once upon a time
6.2過去の場面設定から具体的叙述へとつなぐ:used toからwouldへ
6.3先行情報と比較しながら新情報をつなぐ:比較を表す形容詞句を文頭に立てる倒置構文
6.4比例関係をつなぐ:2つの比例構文
6.5同一内容の反復を避けてつなぐ:so+{助動詞/be動詞}+主語構文と“Ditto.”
6.6情報を事実認定してつなぐ:as a matter of fact
6.7倒置してつなぐ:as+{助動詞/be動詞}+主語構文
6.8条件と結果を直截的につなぐ:名詞句+{and / or}+文
6.9条件や制限を補足してつなぐ:if節、unless節、when節と共起する{that is / that is to say}
6.10同時や直前に発生することがらをつなぐ:just whenとjust before
6.11従属節を独立させてつなぐ:because節
6.12分詞構文でつなぐ
第7章 結語 --英語ということばをあらためて見つめ直す--
参考文献
索引
大竹 芳夫[オオタケ ヨシオ]
1965年新潟市生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業。筑波大学大学院教育研究科教科教育専攻英語教育コース修了。教育学修士。博士(応用言語学)。文部科学省在外研究員(米国ハーバード大学言語学科客員研究員)等を経て、現在、新潟大学教授(教育研究院人文社会・教育科学系)。"Semantics and Functions of the It is that-Construction and the Japanese No da-Construction." (MIT Working Papers in Linguistics. 43. 米国マサチューセッツ工科大学, 2002), 『「の(だ)」に対応する英語の構文』(くろしお出版, 2009)など論著多数。
内田 聖二[ウチダ セイジ]
八木 克正[ヤギ カツマサ]
安井 泉[ヤスイ イズミ]
内容説明
「文をつなぐ」接続現象の多様で豊穣な世界。小説、新聞、映画の台詞等のデータを丹念に観察しながら英語の「文をつなぐ」仕組みを解き明かす。話し手の心を映し出す接続表現、情報の関連づけや橋渡しをする接続表現、聞き手の理解に負担をかけないための接続表現、そして文をつながず発話を終結する表現をも取り上げる。
目次
第1章 文をつなぐ
第2章 文をつながない
第3章 話し手の心を映し出して文をつなぐ
第4章 聞き手の理解に負担をかけずに文をつなぐ
第5章 場面や文脈情報と関連づけて文をつなぐ
第6章 情報の橋渡しをして文をつなぐ
第7章 結語―英語ということばをあらためて見つめ直す
著者等紹介
内田聖二[ウチダセイジ]
1949年生まれ。奈良大学教授
八木克正[ヤギカツマサ]
1944年生まれ。関西学院大学名誉教授
安井泉[ヤスイイズミ]
1948年生まれ。筑波大学名誉教授
大竹芳夫[オオタケヨシオ]
1965年新潟市生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業。筑波大学大学院教育研究科教科教育専攻英語教育コース修了。教育学修士。博士(応用言語学)。文部科学省在外研究員(米国ハーバード大学言語学科客員研究員)等を経て、新潟大学教授(教育研究院人文社会・教育科学系)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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